花宮に好かれた猫被りの子






嫌で、嫌で、我慢して、押し込めた心。

ひねくれて、猫被って、嘲笑ってた私。

それを見抜いたのは、私と一緒で違うあの人。

1人でいることになれた私の中にあの人は普段の猫被ってるくせに、それを外してずけずけと入り込んできた

嫌な筈なのに嫌じゃなくて、私はあの人と2人でいることにいつしかなれてしまった、心地いいと感じてしまった。

だから話してしまったのかもしれない

ずっと、ずっと溜め込んできた感情を。

あの人は静かに私の話を聞いていた。そして話終えると「ふはっ」って特徴的な笑いをこぼした


「言いたい奴には勝手に言わせておけばいいんだよ。お前はお前だ。兄貴なんて関係ねぇだろ」
『………』


何も言わない私の頭を花宮先輩は少し乱暴に掴むと、自分の肩口へと押し付けた。乱暴なくせにどこかそれは優しくてじわりと涙が滲みだす


「もう一度言うがお前はお前だ。いちいち面倒くさい考え方すんじゃねぇよバァカ」


性格悪いくせに、人が悔しがる姿見て笑ってるくせに、なんでこの人はあったかい?

"私は私"
幾度となく自分に言い聞かせてきた、安っぽいって思いながらも。

なのに、なんで花宮先輩が言うとこんなにもすとんと落ちてくるの。

じわり、じわり、と涙が滲むのと同時に心の奥の冷たいものがどろりと溶け出していくような感覚がする


「まぁ、それでもまだ面倒くさい考え方が抜けないなら考えはあるけどな」
『……なんです…?』
「それは…」
『!』


私の頭を掴んでいた手が離れて、今度はその手が背中に回った。それによりさっきよりも近付く距離。

反射的に顔を上げると、花宮先輩の性格の悪そうなニンマリした顔があった。


「兄貴と名字が一緒だから駄目なんだよ。」
『、はっ?』
「だから……」


訳がわからずに花宮先輩をそのまま見上げていれば、花宮先輩の顔がいきなり近付いてきて―――

柔らかなそれが押し付けられた。


「名字、変えればいいんだよ。"花宮"に、な」



どろりと溶かした

20121016

―――――
花宮の口調とキャラが非似すぎて申し訳無い。


***おまけ
『……花宮先輩、その台詞クサくないですか』
「……うるせぇバァカ」



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