小さな体を震わせて泣きじゃくるその体を抱き締めて、その柔らかな髪を何度も、何度も撫でる
「なのちん、泣かないで」
『…んっ、ひくっ…ひっ』
ぼろぼろとなのちんの目からあふれでる涙がオレのシャツを濡らしていく。でもそんなことどうだっていいんだ
「なのちん、駅前に美味しいクレープ屋さんが出来たんだって」
「なのちん、行きたがってた遊園地のチケット貰ったから一緒に行こう」
「なのちんの好きな特別にお菓子なんでも作ってあげる」
君が泣き止んでくれるなら。大好きな君の悲しみを消してあげられるのなら。
「なのちん、好きだよ。オレはなのちんのいない世界なんてやだもん」
ぎゅうっと苦しくない程度まで強く抱き締める。
知ってるよ、まだなのちんが赤ちんのこと好きなの、どれだけ酷いこと言われても好きなことくらい、諦められないくらい赤ちんが好きなこと
「オレは、赤ちんにはなれないけど、なのちんのこと誰よりも好きだよ」
だから、早くこの手を取って。
こぼれ落ちた涙は指をすり抜けて床に丸く跡を残した。
その手はすり抜けて
(早くオレを好きになって)
20121007
――――――
暗いっすね。