紫原と妹の日常





ゆらゆらと揺れる俺より少し長めの紫色の髪

(…やっと見つけた)

その小さな後ろ姿に追い付いて、後ろから抱きつく。それに全く動じないでなのちんはゆっくり振り返った。そんで、俺を視界に入れた瞬間眠そうな顔をふにゃりとした笑顔にした。


『あつ。どした〜?』
「次移動だから、なのちん迎えに来た」
『そうなん?ありがと〜』
「うん。じゃあ行こっか。」
『…あ、教科書持ってない』
「大丈夫。黄瀬ちんに押し付けといた」
『りょうちんに?わー、あつさっすがー』
「でしょー?」


なのちんの小さい手を握って、理科室に向かって歩き出す。

からん、ころんと口の中でキャンディーを転がすなのちんからは甘いいい匂いがしてくる

…俺も、お菓子食べたくなってきた


『あつ、口開けて〜』
「?あ、うぐっ!?」
『ふふー』


言われた通り口を開けた瞬間入ってきたのは、なのちんの大好きな棒付きキャンディー。

いきなり入れてくるからちょっと驚いたじゃんか。

そう思いながらも、なのちんと同じように、からん、ころんとキャンディーを口の中で転がすと、なのちんは『おいしーでしょ?』と嬉しそうに笑いながら言った。


「なのちんからもらったからおいしーよ。」


そう答えると、なのちんはさらに嬉しそうに笑った。


『あつと一緒に食べるからもっとおいしーよ』


その笑顔に俺もなんだか嬉しくなる。

…いいこと、思い付いちゃった


「なのちん」
『なーに、ってうわっ!?』


なのちんの体を抱き上げて、進行方向を変える。


「授業サボって、屋上でお菓子食おー?」
『はいなー!』


元気よく返事をするなのちんを抱えて、屋上に向かう

…何か忘れてる気がするけど、まぁいっか


そんな僕ら
(2人でのんびり)

20120921

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忘れられた黄瀬

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