嫉妬する紫原




!紫原幼馴染み設定



「………」
『…………』


いつもならどうでもいいような話をしながら帰るのだけど、敦は機嫌が悪いみたいで、無言でもぐもぐとまいう棒を食べている。

まいう棒を食べるのはいつものことだけど、なんていうか、食べ方が荒々しいと言うか、不機嫌オーラが全開と言うか…

理由がわからない以上、下手に宥めたりしたら余計に機嫌悪くなるだろうし…どうしようかな

かなーり高いところにある、敦の顔を何となく見上げて、すぐに後悔した。

敦、すっごい私のこと見てる……。

敦は手に持っていた最後のまいう棒を口に放り込むと、歩みを止めた。敦に合わせて私も歩くのを止める


「…菜音」


不機嫌そうに私の名前を紡ぐ敦に苦笑いがこぼれる。あぁもう、どうしようか、


「今日、菜音のこと名前で呼んだ奴だれ」
『えっ?』
「むかつく」


え、え、どういうこと?ぷくりと頬を膨らます敦は子供みたいで可愛いってそうじゃなくて、敦の機嫌が悪い理由って…


「菜音を名前で呼んでいいのは俺だけ」


ぷいっと顔をそらすと、敦はずんずんと歩き始める。

なんて、なんて可愛いんだろうか、私のお馴染みは

遠ざかっていく敦の後ろ姿を見ながら、ひとり笑っていると、少し遠くから「置いてっちゃうよー」といつも通りの敦の声がした。


君の名を呼ぶ声は
(俺だけでいい)

20120914

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