とある少年の愛
※とある少女の哀の続編?的なもの
――――――
「菜音」
『あ、幸村』
名前を呼べば君は笑顔で振り向く。それを愛しいとどれほど思ったことだろう。
『あれ、彼女さんはどうしたの?』
「…彼女?」
俺の大好きな愛しい彼女は目の前にいるじゃないか。そう言えたらどれだけ幸せだろう。
きょろきょろと周りを見回す菜音に、さっき切り捨ててきたものを思い出す。って言っても顔も名前もわからないけど
「…あぁ、フラれちゃったんだ」
『はっ?』
嘘を吐いて、苦笑いを作る。いいんだよ菜音は、あいつのことなんか考えなくて。俺のことだけ考えてれば
『幸村がフラれた…?有り得ない』
「有り得てるじゃないか。今、正にそうなんだから」
眉を下げて悲し気な表情を作る、君に気にかけてもらうためならなんだって出来るようになったんだから
その表情が効いたのか、菜音は途端に申し訳なさそうに眉を下げながら俺を見た
『あー、なんかごめん…。幸村の傷抉って』
「大丈夫。気にしてないから」
『そう?』
「気になるなら俺のこと慰めてみる?」
ぐーっと顔を寄せて微笑めば、わかりやすく菜音は嫌そうな顔をする。そんな顔だって大好きだから構わない
『私にはブン太がいるからお断り。幸村なら可愛い子がいっぱい寄ってきて慰めてくれるから大丈夫でしょ。』
「菜音じゃなきゃ意味ないんだけどなー」
『はいはい、ごめんってば』
離れようとして、俺の胸を押す腕を掴んで引き寄せればすっぽりとその体は俺の腕の中におさまる。なんて幸せなんだろう
『幸村、離せ』
「ごめんごめん」
解放すれば、ちゃんと練習しろよ、と言って菜音は離れたところにいる丸井の元へと行ってしまった
楽しそうに離す丸井と菜音の姿をどれほど羨んだことだろう、妬ましく思ったことだろう。
でも、もうそんな感情はいらないんだ
二人の姿を見つめながら静かに微笑む。端から見れば二人を見守っているように見えるだろう。だってそう。見守っているのだから
俺と丸井。
その立ち位置が変わる日は、もうそう遠くないから
今だけは、我慢してあげる。
一人くすりと微笑んで想像する。俺と菜音。遠くない二人の未来を
とある少年の愛
(愛、執着。君だけを求めてる)
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ゆっきむらさぁぁぁぁあ
とんだヤンデレ野郎になりました。
見方変えればただの変態。
幸村大好き。ごめんなさい。
20120815