「お嬢さん、美味しい林檎はいらんかねー」

「へぇ、美味しそうな林檎だね」


真っ黒なローブに身を包んだ林檎売り(菜音)が白雪姫(臨也)へと真っ黒な林檎を差し出す


「さぁ、お食べ白雪姫」

「ありがとう、林檎売りさん」


臨也は林檎を受け取ると、その林檎の赤さにも負けない真っ赤な唇を開き、林檎にかぶり付い、《ぐぅぅぅう》


「……」

「……お腹、減った…」


突然響いたお腹の音に臨也が林檎を食べようとしていた手を止めて、音の元を見るとそこにはお腹を押さえて林檎を見つめる菜音の姿があった


「…食べたいの?」

「うん、下さい」

「嫌でもこれ毒入り…」

「腹の足しになるならなんでもいいよ」


菜音は臨也から林檎を半ば奪い取るように受け取ると林檎にかぶり付いた


「えっ、ちょっと菜音!?」

「……」


バタン、と倒れ込んだ菜音。あわてて臨也がその体を抱き起こすと、そこに丁度王子様が通りかかった


「おい、菜音倒れてるけどどうしたんだ?」

「げぇ、シズちゃん」

「…手前、菜音に毒林檎食わせやがったな…?」

「食べちゃったんだよ…菜音が」

「とりあえず菜音を渡せ。俺が助けるから」

「はぁ?ふざけないでよね。そう言って菜音にキスするつもりなんでしょ。そんなの許さない。俺が菜音助けるからシズちゃんはどっか行ってよ」

「あ゙ぁ゙!?手前がどっか行けよ臨也ぁ」

「はっ」

「…いいからさっさとたすけてよ」

「ごめん」


―継母の取り合いになりました

(菜音の王子様は俺!)