ごろりとソファの上で寝返りを打つ。高級そうな黒のソファはふかふかで気持ちいい


「ねぇ、臨也」

「…なに?」


パソコンの画面から目を離さずに返事をする臨也。最初は若干イラッとしたけど今ではもう気にならなくなっていた


「今思ったんだけど臨也ってさ、人間の三大欲求って言われてる"食欲"睡眠欲"性欲"のどれもなさそうだよねー」


手元の雑誌をぱらりと捲ると出てくる"人間の三大欲求、食欲を満たすグルメ旅"と言う記事。…臨也には無関係だなー、って

一回起き上がって紅茶の中に砂糖を一つ。それはゆっくりと溶けていく


「なんでそう思うんだい?」

「なんか臨也って、全ての欲求を"人間"に押し付けてるような気がするんだよね。だから他の欲求はいらない、みたいな」

「そういうわけでもないかもよ?」


パソコンの電源を落としこちらを向いた臨也は、何かを企んでいるかのように笑みを浮かべている


「ふーん、そう…」


そんなに興味があるわけでもなかったし、もう話を終わりにしようと、曖昧に返事をするといつの間にか近付いてきた臨也が愉しそうに囁いた


「―試してみる?」


瞬間背中にソファの柔らかな感触。目の前には臨也の綺麗な顔とその後ろに天井。

ゆっくり近付いてきた臨也を見て、私は目を閉じた

あーぁ、余計な事を聞いちゃったなと少しの後悔をしながら…


―三大欲求