「ねぇ、菜音」
「んー、なに?」
ソファーに座りながらのんびりと本を読んでいる菜音に横から抱きつく。…いい匂いするんだよね
「俺のこと好き?」
「うん」
「本当に?どのくらい」
「…うん」
ぎゅう、と抱き締めてみるけれど肝心の菜音は本に夢中で俺の話に曖昧な返事をしてくる。…本に負けるとか悔しいんだけど
「あっ」
菜音の手から本を取り上げれば、不満そうに俺を見てくる菜音。やっとこっち見てくれた
「…なにやってくれてんですか臨也」
「菜音が無視するからじゃん。本ばっかで」
「今は衝撃のクライマックスなんですよ。止められない止まらない」
「本より俺のが大事でしょ」
そう言って口許を緩ませて見せれば、「そーですね」と菜音は俺の頭を軽く叩いた
「ねぇ菜音。」
「なに?」
「好きって言ってよ」
「…はっ?なんで」
「菜音ってそういうこと言わないじゃん。だから言ってみてよ」
「嫌だ」
ほんのりと顔を赤くしてそっぽを向く菜音。照れるといつもこうなんだから
「俺は菜音が好きだよ。愛してる。ちゃんと特別な意味でね」
「…そーですか」
そっぽを向いてしまった菜音の両頬を両手で捕まえて、俺の方へと向かせる。びっくりしたように目を見開いてるのも可愛い
「じゃあさ、菜音」
口端をゆっくりと持ち上げながら菜音に顔を近付けていけばあっという間にお互いの吐息がかかるくらいまで距離が縮まる
顔を反らそうとしても俺が捕まえているために反らせないで表情には出さずに慌て始める菜音。これ見てるともっといじめたくなるんだよねぇ…
「好きって言うのとキスするの、どっちがいい?」
「…えっ」
「10秒以内に答えないとキスってことにするからね」
「ちょっ、待って…!」
「いーち、にー、さーん」
菜音の言葉を遮りカウントを始める、それと同時にゆっくりと更に距離を縮めていく
真っ赤になりながら目を伏せる菜音。…これで余計に俺を煽ってるってこと知らないのかな?
「ろく、なな…」
カウントもあと少しになってきたときに菜音が小さく言葉を紡ぎ始める。
「…き、」
「なぁに?菜音。聞こえないよ」
にやにやしながらそう言えば、菜音は林檎みたいな真っ赤に染まった顔で言った
「…臨也のこと、好き、だよ」
「よくできました」
頬を包んでいた手を離して、菜音の背中へと回し真っ正面から抱き締める。そうすると菜音も安心したのかゆっくりと俺の背中に手を回す
「菜音可愛いー、」
「うるさい、馬鹿。阿呆臨也。変態」
「はいはい。まぁちゃんと言えた菜音にはご褒美あげる」
「本当?何くれるの?」
「それはね…、これ」
そう言って軽くキスをすれば菜音の顔はまた真っ赤に染まった
―言ってほしい