「にゃあ」
「んー?何かな猫ちゃん♪」
「……」
せっかく二人でいちゃいちゃしようと思っていたのに、菜音は俺の部屋に友達から預かってきたらしい猫を連れてやって来た。
別にそれだけだったらまぁ百歩…いや億くらいな?は譲って許してあげたけれど、これは俺に対しての嫌がらせか何かかな?
「わっ!くすぐったいって!!本当に可愛いー」
菜音が猫ばっかりに構って俺のことを全く気にしてくれていない
なに?菜音は俺よりも猫のが大切なんだ、ふーん…
部屋の隅の方に座ってちらちらと菜音を見たりするけれど菜音は猫に夢中で全然気付いてくれない
俺、仮にも菜音の彼氏だよね?この無視っぷり酷いと思わないかい?
てか猫のやつさっきからにゃーにゃー煩いんだよね
…あっこっち見た。…ちょっとあの猫殺してやりたい。
俺を見て嘲笑ったよあの猫?羨ましいだろみたいな顔でこっち見てきたよ?腹立つ猫だな
…もうこうなったら最終手段しかないね。
俺はそっと菜音に近付いてすぐ隣へと腰を下ろした
「?どうしたの、臨也?」
不思議そうに聞いてきた菜音の腕から猫を退けると俺は菜音にがばりと抱き着く
そして菜音に擦り寄りながらにゃーっと言った
―猫にだって渡さない