「菜音」

「なに?臨也」

「こっち来てよ、ぎゅってしたい」


今まで仕事だと言ってずっとパソコンをカタカタしていた臨也がそう言って私を待ち構えるように両手を広げた


「はいはい」


断わる理由も無いので言われたままに臨也の腕の中に行くと、臨也は満足そうに笑って私の背中に手を回す
そして少しばかりの力を込めてくる


「…ん、菜音あったかいね」

「そう?臨也もあったかいよ」


臨也の胸板に擦り寄れば、彼は上機嫌に私の髪を指で弄び始めた


「菜音、可愛い…」


「…ん」


そして髪を撫でていた手が後頭部に回されて臨也に口付けられる

何度かそれを繰り返すと臨也はそっと口を離した


「もう少し充電していいかい?」

「いくらでもどうぞ」


すぐ近くにある臨也の体温と匂いを感じながら私はゆっくりと目を閉じた


―君の温もり