いつも通り。何も変わらない日。
友達と喋ってご飯を食べて遊んで寝てちょっと勉強。
でも今日はいつもと違うことがあった。
「菜音聞いて?昨日彼氏とデートだったんだけどねー」
「うん。…あ、メロンパン美味しい」
もふもふと柔らかいメロンパンにかじりつきながら、愚痴ともノロケともとれる話を聞く
私は残念なことに恋愛とは縁が全くないみたいなので、こういった話を聞くのは新鮮でなかなか楽しい
「もー、でもさ最終的に謝るからさ許しちゃったんだよねー、惚れた弱味ってやつでね」
「そうなんだ。よかったね、仲良しいいことだよ」
「ふふ、ありがとー。菜音に話すとなんか落ち着くのよねー」
あんたマイナスイオンでも出してんの?頭をぐりぐりと撫で回されたせいで髪の毛がぐしゃぐしゃになった。
どうせすぐ直るし撫でられるのはキライじゃないからそのまま放置。
「てか菜音は彼氏欲しいとか思わないの?可愛いのに勿体無いわよ」
「かれし?」
「そう。」
頭にぽんっと浮かんだのは何故か昨日の綺麗な折原くんの横顔。最近で一番印象に残ったからかな?不思議…
「あ、その顔はー、気になる人でもいるのかしら?」
「気になる?うーん、綺麗だとは思った」
そう、友達は何故か嬉しそうににこにこ笑う。でもその笑顔が一瞬で固まった
と、同時に肩を後ろから叩かれる。振り返るとそこには折原くん。
「やぁ、昨日ぶりだね。神原さん」
「そうですね、折原くん」
「ねぇ、神原さん」
「はい?」
「俺と付き合ってくれないかな?」
にこにこ読めない笑顔の折原くんの後ろで女の子たちの凄まじい悲鳴が上がる
ちょっと、怖い
でもそんなことを全く気にしないようにしながら折原くんはさらに言葉を続けた
「俺、神原さんのこと好きなんだ」
だから俺と付き合って下さい。その笑顔を視界に入れた瞬間無意識のうちに私は頷いていた