予測なんて必ず当たるものじゃない。

空から降ってくる水玉を見上げながら私はひとりため息を吐いた



「今日は雨降らないって言ったじゃんかよー、」



朝はものすごくいい天気だった。朝は。だからもちろん傘なんて持ってきていなかった


そんな私の選択肢は3つしか残されていなかった


1.走って帰る
2.歩いて帰る
3.雨が止んでから帰る(明日の朝)


…これ結局濡れて帰るしか無さそうだな


仕方がないと、外へと足を踏み出…せない。これ外出たら駄目だろ。雨強すぎ


そんな感じでうろうろうろ。周りから見たらこれはもう…



「変質者?」


「そう!変質者!…え?」


「なにやってんの菜音?」



振り向いて見るとそこには短ラン赤シャツの有名人。折原臨也くんがいた



「い、いやー、あの…」


「どうせ傘忘れて帰れないとかでしょ?…菜音馬鹿だしね」


「…え、ストーカー?」


「なんで俺が菜音なんかのあとつけなきゃ行けないのさ」



目の前で大きくため息を吐く臨也。せめて本人の前でやるのは止めろ


臨也は傘立てから自分のものらしき傘を取り出すと、悠々と外へと出ていった。…なんか悔しい



「何やってるの?早く来ないと置いていくよ」


「へっ?」



帰っていく臨也の姿を恨めしげに見ていたら、不思議そうに振り返った臨也に手招きされた



「傘ないんでしょ、入っていけば」


「えっ、いいの」


「いいよ、ほら早くしなよ」


「あ、うん」



急いで臨也の隣に駆け寄れば、臨也はすぐに歩き出す


外に出てみればさっきよりは幾分か雨が弱くなってきていた