「菜音。俺以外の人間と話しちゃダメだって言ったよね…?」

「…っ、」


どす、と音を立てて顔のすぐ横にナイフが突き刺さる。

かすったのか頬から一筋血が流れ落ちた

目の前で笑みを浮かべる臨也。だけど目が笑っていなかった。妖しく赤が揺らめく


「菜音は俺のモノ。そうでしょう?」


そっと頬に手が添えられる。そして唇に思い切り噛み付かれた

口の中に一気に鉄の味が広がる、気持ち、悪い…


「ねぇ菜音。もういいよね」


ぴとりとナイフの切っ先が瞼に突き付けられる


「俺以外をうつす目なんて必要ないよね…?」


その日、私の世界から光が消えた。


―君の目にうつるもの

君が見るのは俺だけでいい