ある国を治める王様がいました。

黒髪に赤い瞳。眉目秀麗と言った言葉が彼のための言葉だと言っていいほどに、王様はとても整った容姿をしていました。

さらに彼は頭もよく、武術にも長けていました。まさに完璧な王様。

そんな彼に手に入らないものなど何もありはしませんでした。

ある日王様は気まぐれに町へ出掛けました。

そしてそこで王様は一人の町娘に一目惚れをしました。王様はすぐに町娘を妃に迎えようとしました

けれど町娘はそれを断りました。王様は理由を聞くと、町娘はこう答えました。"大切な人がいるから"と。

王様は家来に命令しました。町娘の大切な人を見つけ出せ、と

町娘の大切な人はすぐに見つけられました。それは金色の髪をした美しい男でした

王様は命令しました。この男を殺せ、と

男は殺されてしまいました。町娘の目の前で

町娘は冷たくなった男にすがりつきながらに泣き崩れました

王様は町娘を男から引き剥がし自分の腕の中に捕らえました

王様は嬉しそうに、嬉しそうに微笑みながら言いました


「邪魔なものはいなくなった。これで君は俺のモノ。たくさん愛してあげるよ…菜音」


―とある国の王様の話

欲しいものを手に入れるのに
手段なんか選ばない