臨也は毎日私に愛を囁く。
いつからだったのだろう。それが少しずつ歪んできてしまったのは…
ピリリリリッと無機質な呼び出し音が鳴る。携帯を開けばそこには一通のメール
『隣の人間は誰?早く離れないと殺しちゃうよ。大好きだよ菜音。愛してる』
はっ、と顔を上げて周りを見渡す。どこにも臨也の姿は見当たらない
でも臨也は必ず近くにいる。いつもこうして私を見張っているから
『どうしたの菜音。そんなにきょろきょろして。そんなに俺に会いたいの?可愛いなぁ…』
そのメールを見てから携帯の電源を切って鞄にしまう。
そうでもしないとこれからも受信し続けることになる臨也からのメールで仕事に集中出来なくなってしまうから
いつもそうしていたから、私は何も考えずにお使いを終えて職場に戻った。
「ただいま戻りましたー、…!」
ドアを開けて言葉を失う。部屋一面が真っ赤に染まっていたから。床も壁も天井も全てが真っ赤に染まってる
ところどころに、人であったもが転がっている
余りにも残酷すぎるその光景に胃の中のものが逆流して来そうになる
「あ、菜音。早かったね」
「!」
背後からの声に振り返れば、真っ赤に染まった臨也がいた。手に赤が滴るナイフを握られている
「最近さ、菜音がなかなかメール返してくれなくなっちゃって俺寂しかったんだよねぇ…。」
「っ、…」
喉が震えて言葉を上手く発することが出来ない
「もしかして、菜音の職場の人間が菜音に何かしたのかなって思って話を聞きに来たところなんだ」
誰も話せなくなっちゃったんだけどね。臨也は微笑む
「ねぇ、菜音。もう仕事なんてしなくていいよ。ずっと俺の傍にいて?」
血塗れたナイフを投げ捨てて、臨也は私を抱き締めた。
―過剰愛
君には僕だけ
僕には君だけ