「―菜音の願い事なら何でも叶えてあげる」
私を膝に乗せた臨也はそう言って微笑んだ
本当に何でも叶えてくれるの?私が首を傾げながらそう問うと、臨也はもちろんだよ、と頷いた
どんな贅沢な願い事でも、叶えてくれるの?もう一度問うと、臨也はまた頷いた。
「それじゃ、臨也の全てを私に頂戴?」
「俺の全てはとっくに菜音のものだよ」
「本当に?嬉しいな」
顔を見合わせて笑い合う。幸せな、愛しい時間。
「ねぇ、臨也愛してる」
「俺も愛してるよ」
その臨也の愛しい笑顔を見つめながら、私は懐から輝くそれを取り出した。そして、それを…
―勢いよく臨也の腹部に突き立てた
「な…!っ、菜音…?」
「大好きよ、臨也」
臨也から流れ出す赤くてあたたかなそれは私の手を伝って床にこぼれ落ちる
「臨也の全てを愛してる」
真っ赤に染まって動かなくなった体を抱き締めながら、私は笑う
暗い、暗い部屋の中。
私の笑い声だけが響いた
―贅沢な願い事
その血肉も髪も瞳も爪も。私だけのモノ
この世で一番贅沢な願い事。貴方の全てを私のモノに―