ポタリ、ポタリ

滴る赤が真っ白なシーツを染めていく

赤を流す少女は光の無い瞳で空を見つめ、瞳に狂気を宿す男は少女を後ろから抱き締める


「空が好きなの?」


ゆっくりと縦に振れる頭。
それを見て男は妖しく笑う。そして一瞬で嫉妬の塊へと姿を変えた

少女の体を押し倒し、自分はその上に跨がる。

男は少女の顎を美しく長い指で掬い上げると微笑んだ。醜い感情を纏いながら


「ねぇ、菜音。俺は君のことが大好きだ。知ってるでしょう」


少女は静かに目を伏せた


「だから菜音はね、俺のことを愛さなくちゃいけないんだよ。俺以外を愛しちゃいけないんだよ」


少女の赤を指で掬い、それを自分と彼女のそれに擦り付ける


「さぁ、楽しいコト始めよう?」


響くのは狂った笑いと乾いた叫び


―赤薔薇の狂愛

愛しすぎるが故の結末。