「こんにちはー?」
がちゃりとドアを開けて、中へと足を踏み入れる。
なんだかいつもと違う不思議な感覚
その違和感にすぐに気付いた。
この部屋の主の、臨也さんがいないのである
「臨也さーん?いないんですか?」
…もしかして、机の下だったりして!
冗談半分に臨也さんがいつも使っている机の下を覗いてみると、そこには可愛らしい黒猫が一匹ちょこりと隠れるように座っていた
大きくつぶらな瞳、つやつやの黒い毛。
…これはストライク!抱き締めたい!
本能のままに黒猫を抱き上げて、その綺麗な毛を撫でてやる
「にゃー」
「可愛いなぁ…!」
その毛に頬擦りすればほほに感じるその柔らかな毛の感触。たまらないっ
ちゅっと黒猫さんに口付けるた瞬間…
「!」
ぼふんと白い煙があがり、ずしりと重みが腕にのし掛かる
重みに耐えられず座り込めば、近くに感じる人の気配
「…菜音?」
「ひゃあっ!?」
耳元に当たる吐息に思わず悲鳴が上がる
もくもくとした煙が無くなった目の前には嫌な笑顔を浮かべる臨也さんがいて…
背中に冷たい汗が伝わるのがわかった
「菜音ちゃん?覚悟は出来てるよね…?」
「い、すみませ…!」
「いっぱい可愛がってあげるからね?」
―猫