「菜音ちゃん」
…今日も来た。
目の前でにやにや笑うその男。
最近何かしらと私の目の前に現れる。
「…またですか。臨也さん」
暇さえあれば朝から晩までだってついてくるこの人に私はもう呆れ返り、もはや尊敬している
「ちょうど、菜音ちゃん見つけたからさー、来ちゃった」
嘘つけ。
語尾に☆がつくテンションで喋る臨也さんに軽くイラッとする
いつもいつもあとつけてるくせに"ちょうど"なんてよく言えるもんだ
「ね、菜音ちゃん。一緒にご飯食べに行かないかい?美味しい店見つけたんだよねー?」
「勝手に行ってきてください。私は行きませんので」
「相変わらずつれないねぇ…。まぁ、そんなところも可愛いよ?」
ぞわわわと背中を這い上がってくる寒気。
腕を見れば見事な鳥肌がたっている
あまりの気分の悪さに手を目に当てて、ため息をつけば後ろからぎゅう、と臨也さんが抱き着いてくる
「もしかして照れちゃったの?可愛いなぁ、菜音は…!」
そんな頭の狂ったことを言う臨也さん。
そしてその変人に抱き着かれている私に容赦なく突き刺さる通行人の視線
…もういい加減にしてください
―ストーカーさん