その日の臨也は何故か朝から不機嫌だった

いつもなら引っ付いてくるのに、今日はツーンってこっちを見向きもしない

…何かあったのかな?


「ねぇ、臨也何かあったの?」


つんつん、と新羅呼んで聞いてみると、新羅は思い当たる節があったらしく「あー」っと声をもらした


「菜音ちゃんてさ、折原君の誕生日知ってる?」

「知らない」


即答で答えると新羅はあはは、と苦笑いする。え、なんで臨也の誕生日がなんなの。


「今日はね、臨也の誕生日なんだよ」

「?そうなんだ」


で、どういうこと?新羅は更に苦笑い。そんな私と新羅を見かねたのかセルティがPDAの画面を私に見せた


【臨也は菜音に祝ってもらえなくて拗ねてるんじゃないか】

「…え」


なんだそれガキが。
そう思ったのが顔に出てたらしくセルティはまた何かを打ち込み画面を私に見せた


【好きな人にだから祝って欲しいんだ】

「…ほう?」

「そうそう!流石セルティだね!!僕も是非セルティに祝ってもらいたいよ!!そして私もセルティを祝うよ!」


興奮してる変態は置いといて、私はセルティにたずねる


「プレゼントとか用意したほうがいいよね…?でも何あげればいいの」

【そうだな…】


セルティと一緒になってうーん、と考え込む。臨也が欲しいものとかなに

セルティへの愛をだらだらと話していた新羅は、いきなりテーブルを叩くと半ば叫ぶようにして言った



「菜音ちゃん!悩む必要なんて無いよ!!プレゼントは1つしか無いんだから!!」


***


「た、ただいまー」


そろー、とドアを開けて部屋に入る。相変わらず臨也は不機嫌オーラMAX


「…おかえり」


小さく呟いてぷいっとそっぽを向く臨也。お前本当に子供みたいだな、おい

臨也を刺激しないように、そーっとそーっと近付いていく

そして目の前まで行ったら深呼吸。


「あのさ、臨也…」

「…なに」

「誕生日、おめでとう」


そう言って笑えば、不機嫌だった臨也の表情が一気に崩れた


「言うの遅い、」

「ごめん、ごめん」


ぎゅーっと座ったまま私の腰に抱き着いてくる臨也は子供そのもの。

厨二病だったのは知ってたけど、知らない内にこんなに進行していたんだね…


「臨也あのね、」

「うん?」

「プレゼント、何あげればいいかわからなかったから…」


そこで新羅の提案したプレゼントを口にすると、臨也は意地悪そうな笑顔になった。…あれ?


「菜音も大胆だね…?それじゃあ、」


臨也はそこで言葉を切ると私を抱え上げた。嫌な予感しかしないのは何故だろう


「今日は菜音が俺を気持ちよくさせて?」


うわぁ、いい笑顔。
自分で言ってしまったことだから今更どうしようもならないらしい。
臨也に抱えられながら、私は考えた。

…新羅、あとで覚えてろ


―プレゼント