ゴールデンウィーク真っ只中の5月4日。
何処に行っても人、人、人で溢れかえっている
ごちゃごちゃとする人波の中仲良さそうに腕を組んで歩く恋人たちを見つけた
…よくやるよ、そう思った反面自分の特別に愛する彼女のことが頭に浮かんだ
最近、会えてないな…。
なんて柄にもなく考えてしまう。
今日は早く帰って寝ようかな、明日になれば会えるかもしれない。
彼女を探すために池袋に足を運んだけれど、全然見つかりそうにない
はぁ、とため息を一つ吐いて自宅に帰るために踵を返して駅へと向かった
***
「…ただいま」
誰も居る筈の無い部屋に、一人呟いた
「おかえり」
返ってくる筈の無い返事が、会いたかった彼女の笑顔と共にやって来る
「おかえり、臨也!」
「…え?」
ぎゅ、と久しぶりな温もりを感じる
びっくりした?って笑顔で見上げてくる菜音に、とくりと心臓が脈打つ
「今日、臨也の誕生日でしょう?だからサプライズ!」
どうかな、なんて子供みたいな笑顔を浮かべる菜音を思いっきり抱き締めた
「ありがとう、馬鹿菜音」
「どういたしまして!でも馬鹿じゃないから」
そんなことを言いながらも菜音もぎゅっと力を込めて抱き着いてくる
あぁ、もう可愛い、本当に可愛い。さっきまでの寂しさなんてどうでもよくなる
「菜音」
「なーに?」
顔を上げた菜音の唇にかぶりつく、寂しさはもうどうでもいいけど俺を放って置いたことは許せない
「い、臨也くーん?」
恐る恐る、といった様子で俺の名前を呼ぶ菜音に俺はとびきりの笑顔を向けた
「今日は俺の誕生日。だから菜音は俺に何されても文句言っちゃダメだから」
「え、ええー?」
何がなんだかわかっていない菜音に俺はもう一度口付けた
―サプライズ