「菜音ちゃーん、大好きっ」

「!」


ぞわぞわとした寒気が私の背中を駆け上がっていく。目の前でにやにやと笑うこの男が不快でたまらない


「ほーんとに菜音ちゃんって可愛いよねぇ?食べちゃいたくなるよ」

「…!ひっ、」


ちょっとずつ、近付いてくる折原さん。

私が男が苦手だとわかっているのにこういうことをしてくるこいつは本当に苦手だ

前に、男が苦手だからやめてと言ったときは「じゃあ俺でなれればいいよ」とか言って触ってきたものだから、私は失神した


「ほーらほら、菜音ちゃんぎゅーってしてあげるよ?」

「いやぁぁぁぁあ!近寄らないで触らないでぇぇえ!!」

「やーだっ!はいぎゅっ」

「!……、」


声にならない悲鳴を上げて、気を失う…。そう思っていたのだけれど…


「…あれ?大丈夫、だ」

「菜音ちゃん俺のおかげで抱き締められても意識飛ばさなくなったねー」

「う、は、はい」


良いことなんだか悪いことなんだとりあえず返事をすると折原さんはにこりと微笑んだ


「次はキスとかしてみちゃう?」

「ふっざけんなぁぁあ!」


とりあえずこの人はなれたとしても苦手だと思います


―臨也療法

無理矢理にでもなれさせましょう。
別名ショック療法。