「臨也ってさ、たまにすっごい優しいよね」


椅子に座って足をぶらぶらさせながら、菜音はいきなりそんなことを言った


「俺はいつだって優しいよ。菜音には、だけど」

「え?意地悪するくせに?」

「愛情表現、愛情表現。」

「…えー」


臨也が優しいときなんて片手で数えても足りるでしょ〜。くるくると菜音は椅子を回す


「じゃあ、菜音が優しいって感じたときはいつなの」

「えーっと…」

「えーっと?」

「…無い」

「おい」

「嘘だよ、嘘。…えーっと」

「…はぁ、どうせ思い出せないんだろ」

「…あは」

「優しいって言ったの菜音のくせに」

「まぁ、そういうこともあるよ」

「はいはい」


菜音に近付いてぎゅうっと抱き締める


「じゃあこれから今まで以上に優しさと愛を注いであげる」


ちゅっと音を立てて額に口付ければ、菜音は顔を真っ赤にして金魚みたいに口をぱくぱくさせた


―時々ときめき

君にだけ愛を捧げましょう