「臨也のバーカ」

「…」

「臨也の阿呆」

「…」


彼女の言葉を読めばわかると思うけれど、俺達は喧嘩した。

呆れるほどの下らない理由で。

謝るのも馬鹿馬鹿しいくらいなそんな理由

放っとけばそのうち機嫌が直るだろう。そう考えていたのだけれど、なかなか直らないみたいで

低レベルな悪口ばかり呟いている。残念ながら俺は菜音よりも馬鹿でも阿呆でもない自信があるしね

そのまま無視を決め込んでいたら、菜音が我慢できなくなったらしい


「臨也なんて…、嫌い」

「っ、」


本気じゃないのなんてわかっているのに、胸に抉られるような痛みが走る


「だいっきら、」

「俺は大好きだよ、馬鹿」


生意気な唇塞いで抱き締めた


―嫌いなんて、

どんな刃物よりも鋭く深く刺さる