「本当に無い。折原だけは無い。」


大好きないちご牛乳の紙パックが私の怒りで凹んでしまった。これも全部大嫌いな折原臨也のせい!


「なんで?あんた達仲良いじゃない」

「どこが?嫌がらせされまくってすっごく不愉快なんだけどいつも!」


思い出すだけで腹が立つ!

いつもいつも私がいちご牛乳買いに行こうとすると先に自販機の前にいて、私の目の前でいちご牛乳を完売させるし、前々から狙ってた購買の限定メロンパンは横取りされるし…

苛々をぶつけるようにお弁当の中の卵焼きに思い切りお箸を突き刺す

行儀悪いわよ。目の前で友達がため息を吐くけどそんなの気にしてられないし!あぁ、もう本当にやだ!

お箸の先の卵焼きを睨み付け、口に運ぶ。

だけどそれは私の口じゃない誰かの口に入った


「…この卵焼き、甘いね」

人の手首を掴みながらむぐむぐと口を動かした、私の卵焼きを食べた張本人はそんなことをほざきやがった。


「…何勝手に食べてるんですか、この阿呆」


ぎっ、と睨み付ければ折原はへらりと笑う


「えー?卵焼き嫌いなのかと思ったからさ、食べてあげたんじゃないか」

「逆だよ!大好物だ阿呆!馬鹿折原っ!!」

「ごめんごめん。じゃあお詫びに好きなものなんでも奢ってあげるよ」

「本当に?」

「うん。だから今日の放課後一緒に帰ろうよ」

「うん!喜んで!」


何奢ってもらおうかなー、とうきうきしていると、友達が呆れたように呟いた


「さっさと付き合え馬鹿共が」


―好きな子の釣り方

好きなものを吊る下げて
食いつき次第モノにしましょう