「ねー、臨也聞いて!今回の残夏くんのかっこよさがはんぱなかったの」

「あー、はいはい」


後ろで興奮しながら漫画の話をする幼馴染みを軽く受け流しながら仕事を進める。

何かあるたびにこうして来るのは別にいいんだけど、騒ぐのだけは困るんだよねぇ


「あとはねー、君僕の二期が始まって、また双子の絡みがね、よかったんだよこれがー!いいよねー双子!…そいえばマイルちゃんもクルリちゃんも双子だねー」


あの双子は本当に驚異だよね。兄の俺でさえもちょっとアレだと思う。俺の影響なんだとはわかってるんだけどね


「…てかさ、菜音」

「んー?」


椅子をくるりと回して菜音の方に向きを変える。前々から思っていたことを聞くために


「菜音さ、なんでわざわざ俺に話すの?その手の話はドタチンとこのが詳しいでしょ」


俺も仕事中にそういう話されても困るし、菜音だって適当な返事しか返さない俺に話してたってつまらないだろう。お互いに得しない

菜音は俺の顔を見て、きょとんとしたあと笑いながら言った


「――臨也に聞いて欲しいから!」


…あ、ちょっとやばい。嬉しい

嬉しいのを隠すように、ちょっと素っ気なく返事をする


「………菜音って物好き」

「そうかな?」

「そうだよ」


俺に聞いて欲しい、だなんて


「菜音」

「なにー?」

「話したくなったら、いつでも来ていいよ」

「…今までも来てるけどね」


好きな相手に言われたら嫌でも上機嫌になるだろう?


―溺愛につき

(嫌なことも好きになれるほどに)