―ねぇ、大好きです
目の前の臨也くんにただそれだけを伝えたいだけなのに、それは声にならずに掠れた音になって消えた
「?どうかしたの、菜音」
不思議そうに私を見る臨也くんに、なんでもないよと首を横に振る
「そう、ならいいんだけど…」
話したいことあったら言ってよね。と臨也くんは手に持った紙とペンを私に見せた
こくり、首を縦に振れば臨也くんは「そう」と軽く笑ってから歩き出した
私もその背中を追いかけて歩き出す。
私の声は貴方に届かないけれど、この想いが伝わったとき貴方は受け止めてくれますか?
そんなことを考えながら小さく口を動かした
―僕の声、想い
(『大好き』この想い君に届け)