「…ん、」
ぼんやりとする意識の中で目を開けば、周りはまだ薄暗い
時計を見ようと体を動かそうとすると、ずきりと鈍い痛みが身体中に広がった
…あぁ、そういえば、
体を動かすのを諦めてそのまま横になる。
そしてほんの少しだけ視線を上げみれば、気持ち良さそうに眠る臨也の顔があった
起きているときとは違う、悪意の欠片も感じられないような可愛らしい寝顔に小さく笑みがこぼれる
無防備なその姿。
愛しさが溢れ出す。それと一緒に不安も溢れる
―臨也は私の特別だけど、私は臨也の特別なのか…?
人類を愛する彼だから、別に此所にいるのが私じゃなくたっていいのかもしれない
そう思うとなんだか悲しくなってきて―
憎たらしいくらい真っ白なシーツを思い切り握り締めた
「…、菜音…?」
「、臨也…」
不意にゆるりと開かれた臨也の瞳には泣き出しそうなみっともない顔の私が映っていた
「…不細工な顔」
「…うるさい」
くす、と優しく笑う臨也から目を反らして握り締めていたシーツに顔を埋める
「菜音は本当に可愛いね…」
ふわりと私を包む腕、臨也のぬくもりが伝わってくる
「菜音、愛してる」
目の前のぬくもりにすがりついた
―白の波に呑み込まれて
その愛の言葉とあたたかなぬくもりで私の不安は無くなるの