「あ、あった!」


見つけた宝は三つ。
宝はちゃんと宝ってわかるようになっていたみたいで、綺麗な光を放っている


「…菜和」

「カルちゃん?」

「…宝、見つかった…?」

「うん、見つかったよ」

「…よかった。…菜和、優勝したら」

「優勝したら…?」

「…一緒にお菓子、作ろう…?」

「うん!」


頑張ろうねって、笑い合ってカルちゃんと別れた。

カルちゃんとの約束のためにも頑張らなくちゃ!

妖館の部屋という部屋を探していく、他の人の部屋には流石に入れないし、そんなとこには隠されていないと私は信じている

不法侵入になっちゃうからね。

そうしてずんずん廊下を進んでいたとき、私は一つの部屋の前で足を止めた。

不思議な雰囲気がただようその部屋の前で。

おいで、おいでと全てのものを誘いながら、目的のものじゃなかったらいとも簡単に跳ね返す

…そんな感じが、した

私は前者なのか、後者なのか…

ドアノブを掴んでゆっくりと回すと、それは意図も簡単に開いた

中に足を踏み入れると、甘く妖しい香りが全身を包む

部屋の奥へ、奥へと進むと、そこには…


「あ、なおたんいらっしゃーい」


優雅に紅茶を飲む残夏さんがいた


「残夏さんだったんですか…」

「うん、そーだよ〜。だってここボクの部屋だもーん」

「そうなんですか…」


確かに、部屋の雰囲気とか家具とかよく見れば残夏さんらしい


「なおたんもお茶飲む〜?」

「んー、まだ宝探し中なんでいいです」

「そっか〜残念。ついでに言うとなおたんも残念だったね〜」

「?なんでですか」

「ボクが隠した宝ね〜もう全部見つかっちゃったみたい」

「え」

「優勝者はそーたんみたいだね〜。ちよたんへの愛の力〜」

「御狐神さん、流石ですね…」

「そうだね〜。ちなみに二位はカルタたん」

「カルちゃん…!」

「なおたんのために頑張ってたみたいだね〜」

「…カルちゃん、」


カルちゃんの気持ちがじーんっと心にしみる。優勝は出来なかったけど、一緒にお菓子作りはしよう!


「ねぇ、なおたん」

「はい?」


いつのまにか、私の目の前まで来ていた残夏さんが微笑む


「ボク、なおたんのお願い事ならいつだって叶えてあげる」


変わる、変わる。
残夏さんの雰囲気が


「だから―」

ボクの彼女になってくれる?その言葉だけが静かな部屋に響いた



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