「りりちゃんって、御狐神さんのこと好きだよねー?」


カルちゃんとりりちゃんとプチお茶会中。私がそう言った瞬間りりちゃんが紅茶を吹き出した。


「な、な、な…!何をいきなり言っているんだ!!」

「?だから、りりちゃんは御狐神さんのことが、」

「違う!言わなくていい!!」

「?うん」

「ちよちゃん、顔赤い…」

「…!う、うるさい!」


林檎みたいに真っ赤な顔のりりちゃんはちょっと怒ったように叫ぶ

実際は照れてるだけみたいなんだけどね。りりちゃん可愛い。


「私も御狐神さん好きだよ?優しいしね」


にこっと笑えば今度は慌てたような、次は何とも言えない複雑そうな表情で私を見た

スカートを掴んで言うのを躊躇うかのように、もじもじっと動いている


「…りりちゃんって本当に可愛いよね。私、りりちゃん好き」

「えぇ!?き、君は今、御狐神君のことが好きだと…」

「菜和、私のことは…?」

「カルちゃんのことも勿論好きだよ!」


ここに住んでる人、皆好き!そう言って笑えばりりちゃんはほっとしたように、カルちゃんはやんわりと笑った。


「つまり、君は特別な感情を持っている相手はいないと言うことだな?」

「うん?そうなのかな」


ここに住んでる人は皆好き。それに特別な感情とかあるのかな?


「ねぇ、りりちゃん。特別な感情ってなに?」

「なっ…、そ、それはだな」

首を傾けながら聞くと、りりちゃんはもとに戻った筈の顔をまた真っ赤にした


「…恋」

「恋?」


あわあわしているりりちゃんの代わりに答えたのはカルちゃんだった


「そ、そうだ!つまりそう言うことだ!」

「…恋ってなに?」

「…君、恋を知らないのか?」

「うん。綺麗なの?美味しいの?」


りりちゃんは知ってるんでしょう?とじっと見つめればりりちゃんはこほんと一つ咳払いをして答えてくれた


「…恋とは、」

「…恋、とは?」

「不整脈だ!!」

「…違うと、思う」


ぽりっとカルちゃんがクッキーをかじる音だけが響いた

そんなとある日の女の子たちのお茶会。



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