「なおたんおはよ〜」

「あ、残夏さん。おはようございます」


朝、玄関の掃除をしていると出会ったときと変わらずに兎耳を揺らす残夏さんがやって来た


「なおたん、朝からお疲れさま〜。」

「ありがとうございます。」


残夏さんは掃き終わった部分に腰かけると、のんびりとした雰囲気を纏いながら話し始めた


「なおたん、ここにはすっかり馴染んだみたいだね〜?」

「そう、ですかね?そうならいいんですけど…」


私は曖昧に笑う。
ここに来て早三日。
確かに住民の人達とは少しずつ、だけれど仲良くなれてきているような気はする。

でも、本当にそうなのかはわからないから、そう言ってもらえるとすごく安心できる


「馴染んでるよ〜。カルタたんとは特に仲良くなったみたいだしね〜」

「カルちゃん、話しやすくて。何だか波長が合うって言うんですかね?…そんな感じなんです」

「そうなんだ〜。なんか妬けちゃうなボク」

「…え、残夏さん焼けちゃうんですか!?み、水持ってこなきゃ」


どこかに水道無かったっけ、急いで消化用の水を用意しようと駆け出そうとすると、残夏さんがそれを私の腕を掴んで止めた


「なおたんにはまだ早い話みたい、ごめんね〜?」

「いや、それならいいんですけど…?」


とりあえず動きを止めて残夏さんを見れば、ニコッ☆と効果音が付きそうな笑顔を浮かべた


「さぁて、お掃除はここまで〜」

「?はい」

「それでもって、なおたんこっち来て」


言われるがままに残夏さんのいる、扉の端の方に移動した一秒後くらいに、バァンッ!と音を立てて勢いよく扉が開いた。

そこから覗くのは、柔らかい桃色の髪。


「…菜和いた。…一緒に、ご飯食べに行こう?」

「カルちゃん!」


カルちゃんに手を引かれながら妖館の中へ。

残夏さんが扉の外で私の使っていた箒を持ちながら笑顔で手を振っていた

…あとで、お礼と謝りに行かなきゃなって、いい匂いのするラウンジに向かいながら考えた。



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