朝、起きたら手が透けていた。

でもそれは一瞬で何事もなかったかのようにもとに戻った

いやな汗が背中を伝っていく、そこからひんやりとした冷たさが私を支配していく

それを振り払うように私は体をあたためようと、シャワーを浴びにお風呂場に向かった


***


「はぁ…」


無意識にため息がもれる。頭の中がぐちゃぐちゃで整理がつかなくなっていた


「あ、菜和ー」

「残夏さん!」


少し遠くで手を振っている残夏さんに迷うことなく駆け寄る。残夏さんといればこのぐちゃぐちゃがおさまるような気がしたから


「ねぇねぇ、菜和」

「はい?」

「明日、ボクとデートしよー?」

「…は?」


目が点になる、そのくらいの驚き。…今、残夏さん、何て言ったの…?


「だ か ら、デートしよー?」

「え?は、はい?」


残夏さんは固まる私の手を取ると、自分の小指を私の小指に絡めて楽しそうに言った


「明日菜和はボクとデートする、指切りげんまん嘘ついたら…、どうしようかなー?まぁ、考えとくねー、指切った♪」


明日楽しみにしててねー、と微笑む残夏さんに、私はただ首を縦に振った



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