菜和がボクの前で泣いたあの日から、菜和との距離が前よりも近付いた

わかりづらくはあるけれど、菜和がボクに甘えてくれるようになってきたから


「あ、残夏さんっ」


ボクに気付いた菜和が笑顔で手を振ってくれる。それが嬉しくて、くすぐったい


「菜和、おーいで!」


ばっと両腕を広げて名前を呼べば、菜和は少し困ったように笑いながらボクの側までは来てくれる

照れて飛び込んできてはくれないところが菜和らしい。

ボクとしては飛び込んできてくれないかなー、と思ってるんだけどねー


「菜和〜、可愛い〜」


ぎゅうぎゅうとその小さな体を抱き締めれば、菜和は困ったような恥ずかしいようなそんな顔をする。それがまたすごく可愛い


「残夏さん、苦しいです…っ!」

「あっ、ごめんねー。ついやっちゃったー」


ぱっと、腕を離す。
そうすればいつも菜和もボクから離れていく、だけど今日は何故か菜和はボクにしがみついていた


「…どうしたの?菜和」

「えぇっとなんと言いますか…、人肌が恋しくなったと言うか…」

「そっかー」


もう一度菜和をぎゅっと抱き締めた。

調子が悪かったのか見えなかった目を少しだけ恨んだ。

微かに彼女が震える理由を知ることが出来なかった



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