―きらきら輝くそれは、思い出のものと少し似ていた。



「うわぁ…、綺麗」

「気に入った?」

「はい、すっごく」


残夏さんに頼んで連れてきてもらったのは、妖館の近くにある小さな湖。

日の光を反射してきらきらと輝く水面は、宝石よりもずっとずっと綺麗に輝いている

手のひらに水を掬えば、それはするり、と私の手のひらを滑りと湖の中へと返っていく


「此所はいつ来ても綺麗なんだよ〜。朝、昼、夕、夜。時間帯によって色を変えるんだ」


今はお昼だから透き通る青だねー。残夏さんはそう言って手袋をはずし、私と同じように水で遊び始めた


「残夏さん、残夏さん!」

「なに〜?菜和」

「えいっ」


ぱしゃっ、と此方を向いた残夏さんの手に水をかける。

いつか遊んだあの日のように水遊びがしたくなってしまったから


「菜和ひどーい、びしょびしょになっちゃったよ」


私が水かける前から濡れてた癖に。ひらひらっと手を振って残夏さんは水を払う。

そのしぐさが何だか可愛くて、つい笑いがこぼれた


「菜和にボクからお返し〜」

「えっ!?」


ぱしゃっ

笑っていた私の手に水がかけられる。


「残夏さん、やりましたね?」

「さぁ、どうでしょうか?」


それから空が赤くなるまで、私は残夏さんと、この湖で遊んでいた



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