バレンタイン | ナノ




今日はバレンタインデー。皆がドキドキしてるのがよくわかる。

もちろん、私だってドキドキしてる…

誰か私にチョコを恵んでくださぁぁぁあい!!


「菜音さん。どうかしましたか?頭可笑しくなっちゃいましたか…」


両手を挙げて空を仰いでいる私の姿は、他の人から見たら確かに可笑しいですよね。はい


「いやー、ちょっと色々ありまして…」


そう言いながら祐希の方に振り返った瞬間、私の動きは停止した

…なぜなら、祐希の手には溢れんばかりのチョコがあったから、だ


「ゆ、祐希…!それは…!?」

「?…あぁ、これ。机とか下駄箱とかに入ってた」

「…まじですか」


二重の驚き。
祐希はモテると思っていたけど、まさかここまでだったとは…!
てかこの平成に机と下駄箱にチョコを仕込む風習があったなんて…!そんな!!波に乗り遅れていたのか、私は!!


「…菜音、大丈夫?」

「だ、大丈夫でーす…」


大丈夫じゃないけどね。精神的ショックすごいんだけどね。時代の早さを感じましたよ…


「菜音、祐希。…菜音どうしたの」

「あ、悠太」

「悠太さーん」


項垂れる私とそれを宥める祐希くん。…しかも私は壁に頭を打ち付けるという行動にはしっている

悠太がびっくりするのは、まぁ普通、ですよね


「菜音、どうしたの?お兄ちゃんに話してごらん?」

「悠太兄さまぁぁぁあ」

「あ、ずるい」


正面からダイブして抱きつく。
よしよし、頭を撫でてくれる悠太兄さま流石です


「…で、どうしたの?菜音」

「チ、チョコ…」

「チョコ?」

「まだ貰ってない…!!」

「「は?」」


かぶる双子の声。
そして二人に浮かぶ明らかな呆れの表情。


「菜音はチョコ貰わなくていいよ」

「…Why?」

「発音いいね。」

「ありがとう!」

「じゃあ、帰ろうか」

「うん!…って違う!!チョコ貰ってないんだってば!」

「はいはい」


そのまま引きずられて私は学校からだんだん遠ざかっていく。

…さようなら、私のチョコレート


***


なんなんですか、この状況。

家に帰ってきたと思ったら「菜音は呼びに行くまで部屋から出ないでね」って双子の部屋に押し込まれました

…いいもん。二人のベッドとかで跳び跳ねてやるから…、って二段ベッドじゃできないじゃんかよ!


「菜音、おいで」

「悠太〜」


部屋の重たい扉が開かれて、救世主悠太が登場。

悠太の言葉に従って近寄れば、かるーく抱き上げられた。男の子ってすごいよね。私みたいなのまで持てちゃうんだから

とんとん、と階段を降りて一階に近付けば近付くほどにだんだんと甘い匂いがただよい始める


「はい、菜音連れてきたよ」

「お疲れ悠太」


下ろされた椅子の上。
目の前のテーブルには大量のフルーツが置かれていた。…なぜ?


「はいはーい、今回の主役の登場でーす」


とすっと置かれた鍋の中。そこにはチョコの海。

これは、つまり…!


「じゃあ、チョコフォンデュ始めましょうか」

「いえーい」


菜音も食べるんだよ。差し出されたフォーク。…あぁ、もう…!


「二人とも大好きだー!」

「はいはい」

「俺達も好きですよ」


バレンタインに三人で食べるチョコフォンデュ。思い出になりました


―つまり逆チョコ

(君に俺達からの愛を)

20120226

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