全国大会の決勝戦前のことだった。

優勝候補AL4のリーダーであるレンは会場に向かうために、広い廊下を歩いていた

(…ここは、どこでしょう?)

きょろきょろと周りを見回すレン。彼はいつも一緒にいるアサカとテツが傍にいなかったため、軽く迷子になってしまっていた

そして角を曲がったとき、胸の辺りになにかがぶつかったような衝撃が走った


「?」
『あ、ごめんなさい』


何がぶつかったのかと確認してみればそれは人間だった。


「僕こそすみません」


ぺこりと頭を下げたとき、なぜか目の前の名前もわからない人物に肩を掴まれた。

レンは少し驚きながらも顔を上げると目の前にはきらきら輝く目があった


『君ってもしかしなくても、雀ヶ森レンくんでしょっ!?』
「え、あ、はい…」
『そっかー!わー嬉しい!!』


戸惑う中わしわしと頭を撫でられて、ますます戸惑うレン。

(この人は誰なんでしょう…)

頭を撫でられながらレンは目の前の人物をじーっと見つめると、彼女ははっとしたように手を離した


『あー、ごめんなさい。私はミナトって言うの。ずっとレンくんに会ってみたかったんだ』
「そうなんですか…」
『次、決勝戦だよね。頑張って』


じゃあ、と言って踵を返したミナトの腕をレンはがしりと掴んだ。


『?どうかしたの』
「…あの、会場までの道を教えてくれませんか」
『お安いご用だよ』


ミナトはレンと手を繋ぎ直すと、迷うことなく歩き出す

そんな後ろ姿にレンは感心しながら、ミナトに腕を引かれるままについていけばあっという間に会場に辿り着いた


『はい、到着』
「ありがとうございました」


離れていく手に少しの名残惜しさを感じながらも、レンは会場へと足を踏み入れた


『頑張ってね』
「はい、ミナトさん」


いきなり名前を呼ばれてミナトは吃驚したような顔をしたあと、すぐに笑顔を浮かべた

レンはそれに少し嬉しさを感じながら、相手の待つ場所へと進んでいった






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