「あのさ、櫂くん…」
アイチは少し戸惑うような仕草を見せながら、櫂に声をかけた
「どうした、アイチ?」
櫂はアイチの様子に疑問を持ちながらも、デッキを片手にアイチの方へと振り返る
「あ、あのね…っ、ミナトさんってどんな人なの…?」
「……」
ばらばらと櫂の手からカードが滑り落ちていった。櫂はいつもよりさらに無表情になると、落としたカードを拾い始める
「…なんで、そんなことを聞くんだ」
「えっ…、ミナトさんってカードキャピタルに来てるときよく櫂くんたちと喋ってるから」
「…そうか」
櫂は拾い終えたカードを揃えてケースにしまうと、アイチを真っ直ぐに見つめて口を動かした
「あいつはただの質の悪い変態だ」
「へっ?」
「近付くな。絶対に」
櫂は語尾を強めにしてそれだけを言うと、カードキャピタルから出ていってしまった
そんな櫂の様子に困り固まってしまったアイチに声をかけたのは一部始終を見ていた三和だった
「ごめんな、櫂の奴ミナトのこと大っ好きだからさー。あんま自分以外の男がミナトに近付くの嫌みたいなんだわ」
「そうなんですか…」
「まぁ、ミナトはあんなんだから櫂は大変だろうけどな」
三和が苦笑いを浮かべながら指差す先にはカムイたちとじゃれるミナトの姿があった
ミナトは三和とアイチの視線に気付いたのか、視線を2人に向けた
『あっ、三和ー!』
「どうした?」
『櫂からアイチくんとっちゃダメだからね』
「とんねぇよ!アホか!!」
『アイチくん可愛いじゃん!何があっても可笑しくないんだよ?』
ねー?アイチくん。いつの間にか2人のもとへと来ていたミナトはアイチの頭をぐしゃぐしゃと撫でながら笑った
「そんなこと無いですよ…?」
『いや、私がアイチくんを嫁にしたいって考えてるから!』
「おまえかよっ!」
『アイチくんは私の天使だもん!』
ぎゅっと自分を包んだ温もり、そして何やら言い合う2人の姿に、アイチはミナトの腕の中で小さく笑いをこぼした
櫂くんの彼女