『…これでよしっ、と』


ミナトは携帯をテーブルに置くと、ふぅ、と息を吐いた


「ん?何してたんだよ?」


ミナトの声を聞いた三和は興味津々とばかりに、ミナトに問いかける

ミナトは三和に笑顔を向けると、先程まで書いていたメールを見せて言った


『頑張ってる櫂に応援メッセージを作ったの!』


***


〜♪〜♪

メールの受信を知らせ震え始めた携帯を櫂は静かに手に取り開いた

誰から送られてきたものか、相手を見るとそこには自分の彼女であるミナトの名があり、櫂は無意識に頬を緩めた


「あれー?櫂、誰からのメールですかー?」
「さぁな」


寄ってきたレンを軽くあしらいながら櫂はミナトからのメールに目を通し、固まった


《レン君とのお泊まり旅行楽しんでるかな?
何か過ちが起こってくれても構わないとわくわくしてます(^o^)
櫂とレン君が気になって夜も眠れない…!
私はアイチ君と櫂を応援してるけど、レン君もいいキャラしてるので全然welcomeです!!
三和と2人でテレビの前で櫂のこと見てるね(笑)》


いきなり動かなくなった櫂にレンは頭に?を浮かべながら、そっと携帯の画面を覗き込んだ

そしてたちまちぱぁぁぁあと効果音がつきそうな位の笑顔を浮かべた


「ミナトさんからのメールじゃないですか!いいなー櫂、僕もミナトさんからメール貰いたいです!」
「!」


レンの言葉に気を取り戻した櫂は急いで携帯を閉じて、レンを見た


「レン、お前…ミナトのことを知ってるのか?」
「はい!知ってますよ。ミナトさん優しいから僕大好きです」
「すっ…!!?」


フリーズしかけそうになりながらも心を落ち着かせて、櫂はレンを見た


「…お前にミナトは渡さない」


それにレンはきょとんとしたあと、悪戯気に笑った


「櫂がミナトさんを大切にしてる間は大丈夫ですよ」


隙があったら奪っちゃいますけど。にっこりときれいに微笑んだあと、レンは櫂の閉じられた携帯を指差して「ミナトさん、櫂のこと好きなんですね」と少し羨ましそうに呟いた


「じゃあ、僕は部屋に戻りますね」


踵を返して去っていくレンの後ろ姿を見送ってから、櫂は携帯を開きもう一度メールに目を通した

そして今度は固まらずに、小さく笑みを浮かべた



《最後に…、優勝して来てね!
大切で大好きな櫂を応援してます。》





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