『ねぇ、三和…』
「どうした、ミナト」


あまりにも深刻そうな表情で、自分の名を呼んだミナトに、三和もなにか重要な話かと思い少しだけ声を潜めて返事をする

ミナトは、きょろりと周りを見回し、周りに自分達以外がいないことを確認すると、すぅと息を吸い込んでから口を開いた


『新EDの櫂の体操服姿、見た?予想外すぎて腹捩れたんだけど』
「…はっ?」
『だって櫂だよ、櫂。あの堅物が体操服着てにこやかに笑って走ってるんだよ?酸欠になりかけたわ』


真面目な顔で淡々と話すミナトに、三和は目をまんまるくする。

え、なにコイツの深刻そうな表情の理由って櫂の体操服姿のことだったのかよ


『小中学生組とミサキはまじかわいかった。まぁ、三和は参加しそうだけど、櫂ってどうよ櫂って。』
「まぁ、櫂だもんなぁ。まっ、成長したってことでいんじゃね?」


俺も櫂の参加は予想外だったけど、楽しかったしそれでいいんじゃん?っと三和が笑うと、ミナトもそうだねっとそれに笑い返した。


『でもアレ成長したってか、もはや別人の域じゃない?』
「それは俺も思った!誰だよアレ!みたいな?」
『実は櫂の皮被った誰かじゃね?みたいな!』
「櫂なんか悪いもん食ったんじゃね?みたいな!」
『櫂のさ、写真撮ったんだけど見るー?』
「おう、見る!」


肩を寄せあって2人でミナトの手にあるデジカメをのぞき込む。


「まじ櫂ばっか撮ったんだな」
『いやさ、最初はネタだったんだけどだんだん可愛くなってきちゃって〜』
「それ櫂に言ったら怒られんじゃね?」
「だれが怒るんだ?」
「『えっ』」


げらげらと笑いながら画面を見続ける2人の背後からいきなり聞こえたのはあきらかに怒りのこもった声。2人が恐る恐る振り返ると――


「げっ、櫂…」


怒りのオーラを纏った櫂が仁王立ちしていた。


「三和。そんなにミナトと近い距離で何をしていた」


ぎっ、と鋭く睨み付けられ三和は言葉を濁して苦笑いを浮かべる。きっとこの状態の櫂には何を言っても怒るとわかっているからだ

何にも言えないままの三和を放っておくのはあまりいただけない。自分のせいなのだから。

ミナトは三和に口パクで「大丈夫」とだけ告げると櫂のもとへと駆け寄った。


『ちょっと櫂の写真を見てただけだよ』
「俺の写真、だと…?」


自分の写真。櫂はその単語にぴくりと眉を動かすと自身の目の前にいるミナトを見つめた。


『そうだよ。体操服姿の櫂もかっこいいなーって。いつもかっこいいけど、また違ったかっこよさだなって思ってさー。流石私の惚れた男は違うよねー』
「…フン、三和何処かに行け」
「はいはーい。お邪魔虫は退散しますよっと」


ミナトに誉められたのが余程嬉しかったらしく、瞬く間に上機嫌になった櫂に、三和はミナトに「後は任せた」と心の中で呟いて、その場を去るのだった



運動着
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -