『わー、やっぱり上手いね』


なれた手つきでオムレツを仕上げた三和に、ミナトは感嘆の声をあげた


「まぁな。今は料理できる男子がモテる時代だからな!」
「…師匠と呼ばせてください!!」


得意そうにそう言い放った三和に井崎はきらきらとした視線を送った。


『本当だ。三和モッテモテ〜』


にやにやと三和と井崎を交互に見るミナトに、三和は頬を軽くひくつかせる


「おまえに言われるのは何か嫌なんだけど」
『うわ、ひどっ』


けたけたと笑うミナトに、三和もつられて笑っていると、近くで料理をしていたレンがミナトに何かをアピールするように手を振った


「ミナトさーん!僕も作ってますよー!」
『レン君も?』
「はい!出来たら食べてくださいね!」
『もちろん。喜んで食べさせてもらうよ!』


ミナトの返事にレンは嬉しそうに微笑みながら小さくガッツポーズをする


「ミナトさんの胃袋、GETしちゃいます!」
「…」


櫂はそんなレンにちらりと見ると、華麗な手さばきで伊勢海老の調理を続けた



***



「「『いただきまーす』」」


全員揃って席につき、食事を始める。各自自分の作ったものを頬張る。


『三和のオムレツおいしー』


…ミナトを除いて


「おまっ、人の勝手に食うなよ!」
『けちけちしないの、美味しいもの食べたいのが人と言うものだよ?』
「意味わかんねぇよ」


何言ってんの、と言わんばかりの表情で三和のオムレツを食べていくミナト。それなりに食べると、ミナトは三和から離れ、レンのもとへと寄る


『レンくん。ハヤシライス食べてもいい?』
「勿論です!ミナトさんあーんしてください」


ミナトが自ら来てくれたのか余程嬉しいのか、レンは満面の笑みでミナトにハヤシライスを一口分差し出す。…自分が使っていたスプーンに乗せて


『あーん』
「馬鹿か」


それを迷うことなく食べようとしたミナトの頭を櫂は至って冷静に叩いた


『!…櫂、いたい』
「……………。」


叩かれた部分を頭を押さえて自分を見上げてきたミナトに、櫂は一瞬苦し気な表情を浮かべたがすぐにいつもの表情に戻ってミナトの腕を引いて、自分の膝へと乗せた


『…櫂?』
「黙って食べろ」
『?わかった』


いつもはこんなことしないのに、ミナトは櫂の行動を不思議に思ったが、特に追求することはせず、目の前に並ぶ豪華な伊勢海老の料理へと箸をつけた


『ん〜、櫂の料理はやっぱり美味しいね』
「当たり前だ」


幸せそうな顔をしながら、パクパクと料理を食べていくミナトに、櫂はいくらか表情を緩める

それに気付いた三和は、やれやれと苦笑いを溢し、ミナトは嬉しそうに笑った。


『櫂。はい、あーん』
「……む、」
「あー、櫂ずるいですー!」
「レ、レン様!それなら私が!!」
「(エミさんが俺にあーんを…!)」
「三和さん、これ美味しい!」
「お、ありがとなー」
『三和にもあーん、してあげよっか?』
「……」
「い、いや遠慮しとく(…櫂の奴睨みすぎだろ!)」






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