▼ハロウィーンだよ!




10月31日

今日は素敵なあの日です
…だから、なのかもしれない。


「あ、なのちーん。お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞー?」


今、私の目の前にとんでもなく大きい狼男なむーくんがいるのは。
わっさわっさと尻尾を揺らしながら駆け寄ってくるむーくん。
なんだろう、狼男ってより大型犬にしか見えなくなってきた


『はい、むーくん!』


今日はハロウィンだから、昨日のうちにカボチャやお化けの形のクッキー作っといたんだよね。ハロウィン柄の袋にいれたクッキーをむーくんに渡すと、むーくんは予想通りに目をきらきらっと輝かせた


「うわーうまそー!なのちんすげー!」
『むーくんにそう言ってもらえると嬉しいよ』
「なのちんまじ大好きー!」


がばーっと抱き着いてきたむーくんを抱き止めると、狼男の衣装のふっさふっさの毛があたってくすぐったい。


「あーっ!紫っちずるいっスよ!!」
「あ、白月さん。trick or treat です」
『黄瀬くん、黒子くん。ハッピーハロウィン!』


むーくんを背中に背負ったまま黄瀬くんと黒子くんにもクッキーを渡す。ちなみに黄瀬くんはカボチャの被り物つけていて、黒子くんは魔女の帽子を被ってマントも着けてる。
黄瀬くんは置いといて、黒子くんは普通に可愛い


「カボチャの形のクッキーですか。可愛いですね」
「なのっちの手作りのお菓子GETっス!」
「黄瀬ちんのは無いし。それオレのだし」
「えっ!?」


お菓子を取り合ってぎゃいぎゃいしはじめるむーくんと黄瀬くん。それを黒子くんと見ていると、後ろからため息と笑い声が聞こえてきた


「…全く、あいつらは何をやっているのだよ」
「バカだからなー。仕方ねぇんじゃねぇか?」
『あ、緑間くんにアホ峰』
「だれがアホ峰だ」


振り返った先にいたのは包帯ぐるぐる緑間くんと、なんかゾンビみたいな感じになってる青峰くんだった。2人ともなんか面白い
隣で黒子くんが ぷっ と吹き出したのが聞こえた


「菜乃、食い物寄越せ」


手を出してくるアホ峰に、にっこり笑ってお決まりの台詞を吐いてやる。


『アホ峰。trick or treat!』
「…は?鳥?」


…青峰くんはアホだ。
もうあれだもん、皆しーんってしてるもん。


「「「………」」」
「なのちんのお菓子うめー」
『そういえばなんでみんな仮装してるの?』
「桃井さんが持ってきたんです」
『へー、さっちゃんが』


黒子くん魔法使い、緑間くんミイラ男、むーくん狼男、青峰くんゾンビ、黄瀬くんカボチャ…ってことはつまり赤司くんも仮装してるのかな?
赤司くんだから王様とかそんな感じの着てそうな気がする


「あ、菜乃ちゃんみーつけたっ!」
『?さっちゃんっ』
「菜乃ちゃんはネコね!!」
『え、はっ?』


いきなり突進してきたさっちゃんに何の反応もできないままに頭に乗せられる何か。ふわふわしているのがなんとなくわかる


「さしずめ赤司の猫、っと言ったところか?」
『なにそれ!?』


うんうん、とみんなが頷く。え、なに、なんなのその連帯感。てか赤司くんの猫ってどういうこと?


「うん、全員よく分かってるじゃないか」


まるでタイミングを図ったかのように、赤司くんはにっこりと微笑みを浮かべて降臨した。そして仮装は予想とは違って驚くほどに似合ってる吸血鬼だった。

赤髪と黒マントやばい。
てか赤司くんかっこよすぎる。


「そう。この愛らしい白猫はオレのモノだよ。」


するっと、むーくんの温もりがなくなったと思ったら、別の温もりがすぐに私を包み込んだ。視界の端で揺れるのは赤い色。はいそうです。赤司くんです


『赤司くん、ハッピーハロウィン』
「ありがとう」


手に持っていた紙袋から、皆のとは違う袋を取り出して赤司くんに渡す。ちゃんとわけてきたんだよ。一緒にするのはやめた方がいいって本能が叫んでたから

私の本能は正しかったらしく、赤司くんは自分のと他のみんなが手に持つ袋を比べると満足そうに微笑んだ。


「うん。いい子だね菜乃。」
『ありがとう…?』
「御褒美にオレからはとっておきの trick をあげるよ」
『……はい?』


御褒美なんだから普通 treat なんじゃ…?
そんなことが頭に浮かんだけど、楽しげな赤司くんが言うんだから仕方ない、と同時に思ってしまうんだから私は駄目なのかもしれない。


「期待して待ってるといいよ」


その言葉の後、ちゅっ と軽く赤司くんの唇が私の唇に触れた。

……え、え?


「今までで一番楽しいハロウィンにしてあげるよ」


悪戯っ子みたいに ニィ と口角を上げた赤司くんを網膜に焼き付けて…

そんなこんなしているうちに最終的に今年のハロウィンは赤司くんづくめで終わっていったのだった。



20121104
――――――
ハロウィン大遅刻。
オチも無いけどいいか。



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