▼紫原くんの誕生日





『むーくん、何か欲しいものとかある?』
「んー?」


いつも通り、日向ぼっこをしていたらなのちんが不意にそんなことを聞いてきた。欲しいもの、欲しいものかぁ。…お菓子とか


「お菓子かなー」


思ったまま口に出せば、なのちんはやっぱりお菓子かー、って笑った。ふわふわの芝生に横になれば視界が一面空になる。うわー、まぶしー

仰向けにしてた体を横向きに倒し直すと、なのちんが手を伸ばしてきてオレの頭を撫で始めた

なんだろー、すっごい眠くなってきた。なのちんの手あったかいし、なのちんの撫で方ふわふわしてるし


「ねむ……」


ふぁぁ、と欠伸をするとなのちんはオレの頭からそっと手を離した。
なんで離すんだろ、オレはもっと撫でててほしいのに。
なのちんの手をつかんで、オレの頭に当てればなのちんはふわっと笑った。


『むーくん、眠い?』
「うん…」
『じゃあ、今日は特別に貸してあげよう』
「…へっ」


言葉の意味がわかんなくて、なのちんのことを見上げれば、なのちんは膝をぽんぽん叩いてた。…、これってもしかして膝枕ってやつしてくれるってこと?


「いいの?赤ちん怒ると思うよー?」


赤ちんなのちんこと大好きだし、こんなことしたらオレもなのちんも怒られるんじゃね?


『ん、大丈夫。許可はもらったから』
「…?そーなんだ」


じゃあ、大丈夫かー。
なのちんの言葉に甘えて、なのちんの方に倒れ込む。うわ、なのちんやわらかい

今まで使ってきた枕とか比べ物になんないくらい寝心地いいんだけど。


『おやすみ』


言葉と一緒になのちんの手によって真っ暗になった視界にゆるゆると眠気が襲ってくる。


「おやすみー」


あったかい手がオレの頭を優しく撫でるのを感じながらオレは眠りについた…







「うわー、紫っちもなのっちもぐっすりっスね」
「2人とも可愛いね」
「いいからさっさと準備をするのだよ」
「しっかし、赤司もよく許可したな。」
「敦は今日誕生日だからな。特別だ」
「それじゃあ、2人が起きる前に…」






『むーくん、むーくん』


ゆさゆさと体を揺さぶられる感覚と、なのちんの声に重い瞼を持ち上げる。ふぁー、よく寝た……


『むーくん、起きて』
「んー、起きた〜」


ゆっくりと体を起こして、なんとなく周りを見てると…


「うわっ、すっごー!」


オレとなのちんを中心にして、周りを囲うようにプレゼントが並んでいた。なんで、なんで、なんで?

一つずつ手にとって封を開けてみればそれぞれの箱にいろんな種類のお菓子がつまってた


「なのちん!なにこれすごくねぇ!?」


お菓子を両手一杯に抱えて、なのの方に振り返ったら、いつのまにかみんながいて、いきなりパンパンパンッて音といろんな色の紙吹雪で目の前がいっぱいになった


『「「「誕生日、おめでとう!!」」」』
「…はっ?」


なにそれ誕生日って…?
わけわかんなくて真ん中で笑ってるなのちんに抱きつけば、なのちんはオレの頭を撫でて、『今日、誕生日でしょ?おめでとうむーくん』って言った。

そんでやっと意味がわかって、なのちんをぎゅってした。


「ありがとー、みんな」



――――
むっくんハピバ!

20121009



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