▼部室にお呼びだし
「さて、菜乃。何か言うことはあるかい?」
部室、床、正座。仁王立ちの赤司くん。
誰か、この状態の私と変わりたい人この指とーまれっ!
…なんて、言ってる場合じゃなぁぁぁぁい!!怖い、赤司くんめっちゃ怖い。
眉間に皺寄ってるとか、わかりやすい怒り方とかじゃなくてね。あれ、笑ってるよ、赤司くん笑ってるよ?口元だけが
『いや、その…。』
あぁ、なんで赤司くん怒ってるんだろう。わかってたら全力で謝るのに。
わからないから「何か言うことはある?」って聞かれても何も言えない。
ただ何も言わずに黙ってるのはよくないっていうのはわかってるけど、今私が何を喋っても地雷を踏みそうな気がしてならないんだけど…
「……はぁ」
赤司くんのため息に、冷や汗が滲み出てくる。あ、…ちょっと誰か助けて…
赤司くんは私の目の前まで歩み寄ってくると、屈んでいきなり私の右頬をつねった。
『…へ、ひょっとあかしくん、いひゃい』
「うるさいよ馬鹿」
ぐいぐい、ぐいぐい頬を引っ張ってくる赤司くん。ねぇ、地味に痛いよ赤司くん。でも今の赤司くんに逆らえるほど私のメンタルは強くない
どうすることもできないままに赤司くんを見つめる。…間近で見ると本当に赤司くんって綺麗な顔してる。肌すべすべだし。睫毛長いし、目綺麗な色してるし…
赤司くんに手を伸ばして頬に触れてみる、やっぱり赤司くんの肌すべすべだ
「…菜乃」
『ん?』
「お前、本当に馬鹿だろう。何でいきなり俺の顔を触るんだ」
赤司くんはさっきとは違う今度は呆れたような表情になって、赤司くんの頬を撫でていた私の手をつかんだ。
そうだね、うん。
怒られてたのにいきなり頬触り出すとかおかしいよね、変態みたいだみたいだね、私!
『え、あの…』
どうやって誤魔化そう。頭をフル回転させながら理由を考える
『赤司くん、』
「……………」
『……やっぱ、かっこいいなって、思って…………』
「………………」
『…赤司くん?』
いきなり顔を俯かせて黙り込んだ赤司くん。…どうしたんだろう?何だか心配になって顔を覗き込んでみようとすると
「見るな」
『いっ』
頭を鷲掴みにされた。
それでも何とか目を動かして、赤司くんを覗き見てみれば耳が髪と同じ色になっていて、つい小さく笑ってしまった
(部室にお呼びだし)
20121013
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