▼秋のころに
緑色だった葉っぱたちがだんだんと色を変えていく。あんなに毎日暑かったのに、だんだんと涼しく過ごしやすくなっていく今日この頃。
『…もう秋だねー』
「だねー」
夏休み前は暑がって膝に乗ってくれなかった猫さんたちだったけど、最近はやっぱりちょっと寒いのか暖を求めて擦り寄ってくるようになった。可愛いことこの上ない。
お菓子を頬張るむーくんにじゃれつく猫さん。微笑ましすぎる光景ごちそうさまです。
「ねーねーなのちん」
『んー?』
何本目なのかわからないまいう棒の袋を破きながら、むーくんは猫さんに向けていた視線を私に移す
「なのちんってさ、誕生日いつなの?」
『9月24日だけど…』
「はっ?まじで?」
『まじっすよ』
むーくんはまいう棒を口に入れると、うーんと唸り始めた。え、どうしたのむーくん。私の誕生日に何かあるの?
「あと1週間もないじゃん…きっつー」
『?』
猫さんを撫でぐりまわしながら、なにかを呟いたむーくんの声は私の耳に届くことなく風に流された。
***
「なのちんの誕生日、24日だって」
「まじっスか!?」
「なら早急に計画を進めなければいけませんね」
「びっくりさせたいから絶対当日まで秘密だからね!特に青峰くんっ!」
「へいへい」
「…全く、騒がしいのだよ。」
「俺の菜乃の誕生日なんだから当たり前だろう?」
その日の部活終わりの部室でそんな会話が行われていたなんて、放課後さっさと帰宅した私が知るよしもなかった。
(秋のころに)
20121001
→