▼買い出し




『あれ、赤司くん1人…?』


集合時間の5分前、駅前の噴水の前についたら、そこには赤司くんが1人で立っていた。…え?

私の姿を見つけたらしい赤司くんが、笑顔で手を振ってくる方へと駆け寄る。

…皆、大丈夫なのかな?


「白月さん。」
『赤司くん、待たせてごめんね。』
「大丈夫。まだ時間より早いから。」
『うーん…、ありがとう?』
「いいよ。じゃあ行こうか」


はい、と差し出された赤司くんの手。…手を乗せればいいのかな?

赤司くんの手に自分の手を乗せながら、気になっていたことを赤司くんに聞いてみる


『ねぇ、赤司くん』
「なに?」
『他の皆は?』
「今日は来ないよ。俺と白月さん、2人だけ。」
『えっ』


つまり…、赤司くんと2人きり、ということでしょうか。うわっ、なんか緊張してきた

今更だけど赤司くんの私服姿かっこいい。

今までユニホーム姿と制服姿くらいしか見たことなかったから新鮮だし…。

なんて言うか……


『デートみたいだね』


まぁ、私と赤司くんじゃ、そんな風に見えないだろうし。そう思ったから冗談半分で言ってみた。


「…、そうだね」
『!』


そしたら赤司くんは私の予想を裏切り、ほんのり顔を赤くしながら優しく笑った。…ど、どうしよう、期待してしまう

(…期待、する?何に?)

ばっくんばっくん煩い心臓。これが世に言う不整脈なの?


『?、???』
「じゃ、買い出し行こうか」
『あ、はい…』


赤司くんに手を引かれて歩き出す。買い出し…?買い出し、買い出し。あ、なるほど買い出しに付き合って欲しかったと?

(うわ…恥ずかしい)

買い出しに付き合うだけなのに『デートみたいだね』とか言った私恥ずかしすぎる。もう赤司くんの顔見れないわ

(…あれ?)

そこでひとつの疑問浮上。赤司くんってキャプテンじゃなかったっけ?キャプテンって買い出し行くの?バスケ部にはさっちゃん筆頭にしてマネージャーいっぱいいたような気がするんだけど…。どうして赤司くんが?


「俺が買い出し行くって自分から言ったんだよ」
『へっ?』


まるで私の心を読んだかのように返事をしてきた赤司くんに思わず間抜けな声が出る。

赤司くんはそんな私を見て笑うと、「全部口に出てた」っと言った。…恥ずかしい、何なの今日、恥ずかしすぎる。あまりの恥ずかしさに顔を俯かせる


「白月さん。俺が買い出し行くって自分から言い出した理由わかるかい?」
『え、わかんない』


唐突にそんなことを言い出した赤司くんに、俯かせていた顔を上げる。と、赤司くんが嬉しそうに笑いながら私を見てた


「白月さんに、会う理由が欲しかったからだよ」
『!私も、赤司くんに会いたかったよ』


赤司くんの言葉が嬉しくて、同じように笑うと赤司くんは照れたように笑いながら、私の頭を撫でた

赤司くんは、私の頭から手を離すと、後ろをちらりと見て、小さい声で「ちょっと走るよ」と言うといきなり走り出した。

よくわからなかったけれど、とりあえず赤司くんに手を引かれながら走る、走る。

赤司くんはこれまたいきなり途中で止まると、私の体を路地裏に引き込んだ


『赤司くん…?』


小声で赤司くんの名を呼ぶと、赤司くんは人差し指を口に当てて「しー…」と言った。…赤司くん可愛い

ちょっと静かにしていると、バタバタと大きな足音ともにカラフルな毛色がたくさん見えた

…皆だ!


「あー、見失ったっスー!」
「もう、青峰くんのせいだからね!!」
「はぁ!?」
「なのちんと赤ちんどこ行っちゃったんだろー。峰ちんのアホ」
「この付近にはいるだろう。青峰が見失うことさえしなければ…」
「青峰くんが途中で余所見しなければ見失うことはなかったでしょうね」


とりあえず青峰くんフルボッコ状態なのは理解した。青峰くん、どんまい!

頃合いを見計らったのか、赤司くんは私の手を引いて路地裏から出た。


「お前たち、何をしているんだ?」


私からは赤司くんの背中しか見えないから、表情はわからないのだけれど、皆は冷や汗がすごい。そして黄瀬くんが悲鳴をあげた。

あぁ、皆だ。皆。


「ひっ、赤司っち…!?」
「後をついてくるなんて、随分暇なんだな」
「い、いや誤解なのだよ、赤司!」
「黄瀬がよぉ…!」
「青峰っちものりのりだったじゃないっスかー!」
「主犯は黄瀬くんです。」
「黒子っちーっ!」

「なのちーん!会いたかった!」
「菜乃ちゃん!」


飛び付いてきたむーくんと、さっちゃんを受け止める。皆集まったこの空気が、やっぱり一番楽しい!

赤司くんは「ふぅ」と息を吐くと、すごい笑顔で処刑宣告をした。


「…お前ら、全国終わったら覚悟をしておくといい。」
「「「「「ひっ」」」」」


一瞬で青ざめる皆の顔。私とさっちゃんは苦笑い。

結局買い出しは皆ですることになって、たくさんの荷物は赤司くん、私、さっちゃんを抜いた5人が全部運んだ。

赤司くん曰く、「あの程度普通だろう」だ、そうです。

とりあえず、皆と遊びに行けて楽しかったです。


(買い出し)
21020917



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