▼お誘い




『暇だなぁ……』


合宿から帰ってきて早1週間。

夏休みの課題を終わらせたり、遊びに行ったりバスケ部の練習を見に行ったり、とりあえずしたいことはしつくしたから、今はこうして部屋でごろごろしてるんだけど…。

何て言うか、暇だ。何かしたい。でも、何かをする気にはなれない。…矛盾しているぞ、私。

…さっちゃんに、メールしようかなぁ

パカッと携帯を開き(スマホなんてまだ買ってもらえない)、メールを作成する。そして、送信ボタンを押そうとして、やめた


『もう少しで全国、って言ってたっけ……』


もう少しで全国=忙しい=メール迷惑。

一瞬でこの式が浮かび、私はメールを消して、携帯を閉じた。


『赤司くんに会いたいな…。皆、元気かな…』


ほんの2、3日前に会いに行ったばかりなのに、会いたいとは……。皆依存症か、私は

うーん、と寝返りとうとうとしたとき、携帯から着信音が鳴り響いた。ちょっと吃驚しながら着信相手を確認すると"青峰くん"と表示されていた

…青峰くんが私に電話とは、珍しい


『もしもし、どうしたの青峰くん?』
《――もしもし、白月さん?》
『…え?』


聞こえてきたのは青峰くんではない、他の誰かの声で…。

驚きの余りに携帯を落としそうになったのをぎりぎりでキャッチして、再び耳へと当てる


《白月さん?》
『あ、いや…その…』


鼓膜を震わせるは心地よい低音。こ、これはまさか…!


『あの、赤司くん…?』
《あぁ。驚かせたか?俺、白月さんの番号知らないから大輝に携帯を借りているんだ》
『なるほど』


だから青峰くんからなのに赤司くんが話してるんですねわかります。とりあえず寿命が3日くらい縮んだかもしれない


《白月さん、明日空いてる?》
『うん。空いてるよ』
《よかった。じゃあ明日、1時に駅前の噴水の前に来てくれるかな》
『わかった。何かあるの?』
《それは楽しみにしておいて》
『うん、それなりにしておきます』
《それじゃあ、また明日。》
『また明日。』


通話終了ボタンを押して、携帯を見つめる。

これは、これは……!

全国前、みんなに会いに行ける最大のチャンス!!

いつのまにか、さっきまでの矛盾なんてきれいさっぱり消えて、明日へのわくわくする気持ちを押さえるのに、私は一生懸命になっていた

あぁ、早く、明日よ来い!


(お誘い)
20120916



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