▼帰り道、夢の世界
ガタン、ガタンと振動するバスの車内には来るときの騒がしさはなく、ただ寝息だけが響いている
2日間の練習と、先程まで海で遊び回っていた疲れが一気に押し寄せてきたのだろう
ついさっき膝に倒れ込んできたむーくんの頭を撫でながら、車内を見回してみると、緑間くんも、青峰くんも、黄瀬くんも、黒子くんも、さっちゃんも、むーくんも、そして、隣に座ってる赤司くんも。皆、気持ち良さそうに寝息をたてていた
『皆、お疲れさま…』
さて、私も寝ようかな。
ゆっくりと目を閉じると、ゆるやかな眠気が私をあっという間に眠りへと引き込んだ――…
――…
「――っ、……?」
重たい瞼をゆっくりと開く、体が揺れているからまだ帰る途中みたいだ。
不意に、右肩が眠る前より重くなっていることに気が付いた。重い、というより何かが寄りかかってる
「!、…白月、さん?」
右を見ると、俺の肩に頭を預けてすやすやと気持ち良さそうに眠る白月さんがいた
(……白月さん、可愛いなぁ)
そっと、頭を撫でると気持ちいいのか、甘えるように擦り寄ってくる
『…あかし…くん…』
「!」
寝言、なのにいや寝言だから、嬉しいのかもしれない。無意識に名前を呼んでくれることが、嬉しい。
だらしなく頬が緩んでくる。
「おやすみ、白月さん」
白月さんの額に口付けを一つ落として目を閉じる。
これくらいなら、許されるだろう?
(帰り道、夢の世界)
20120916
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