▼海で遊びましょう




「ひゃっほー!海っスよ!!」
「ビーチバレーやるぜぇぇえ!」
「…今日のラッキーアイテムはうきわなのだよ」
「かき氷食べたい」
「僕はバニラシェイクが飲みたいです」
「最終日だからってはしゃぎすぎるなよ」


合宿最終日。

せっかく海があるんだから、遊ぼうじゃないか!ってことで練習は無しで海に全力で遊びに来ています。


「海綺麗だね。菜乃ちゃん入る?」
『んー、止めとこうかな』
「やっぱり?わたしたち水着無いもんね」


私とさっちゃんはただいまビーチパラソルの下。海の日差しは恐ろしいほど強いのですね。

砂浜を走り回る青峰くんを見て、これ以上青峰くんは黒くなるのかな、って呟いたら何故かさっちゃんがすごく笑ってた


「あ、なのちん。かき氷一緒に食べいこー?」


ふらりと現れたむーくんに誘われるがままに、かき氷を食べに近くにあった海の家へ。

向かう途中でさっちゃんは、「テツ君の所行ってくるね!」っと緑間くんと砂でお城作ってる黒子くんのもとへと駆けていった。

大きい体をで屈み込んで砂でお城を作ってる緑間くんには、不覚にも吹いてしまった。


「なのちんは何味がいい?」
『んー、と。レモンにしようかな』
「じゃあ、俺はイチゴにするー」


かき氷を注文して待つ間、海の方を見てみる。青峰くんは黄瀬くんとビーチバレーしてて、緑間くんと黒子くんとさっちゃんはお城を作り終わったらしく、今度は像を作り始めてるみたいだ。…あれ、赤司くん、いない?


「赤ちんいないね」
『だね。どこ行っちゃったんだろ?』


むーくんも同じことを思っていたみたいだ。あれかな、赤司くんかっこいいから逆ナンとかされてるとか、…はっ!もしかしたら沖で巨大生物と闘ってるとか!?


「うん。有り得ないから」
『ひぁっ!?』


言葉とともに首に押し当てられた冷たさに思わず奇声が漏れた。よくないよ、実によくないよ


「あ、赤ちーん。どこ行ってたの?」
「ちょっと飲み物買いにね。はい、お前らの分」
『ありがとう…』
「ありがとー、赤ちん」


冷え冷えの缶ジュースを当てられた首の裏を手で押さえながら、空いてる方の手でジュースを受けとる。赤司くんが悪戯っ子とは知らなかったよ、全く!

赤司くんは私の隣に座ると、なんだか楽しそうに私を見てくる。…何か、ついてる?


「白月さん、吃驚すると随分可愛い声上げるんだね」
『…余計なお世話です』


赤司くんから視線をそらし、ちょうど来たかき氷を店員さんから受け取る。

スプーンですくって一口。きーんとした冷たさが体に染み渡る。これぞ、かき氷…!


「白月さんレモンか。一口頂戴?」


にっこりとわざとらしい笑顔を浮かべてくる赤司くんに、ちょっと悪戯したくなったので、かき氷を一口分のせたスプーンを勢いよく赤司くんの口に突っ込んだ。

さぁ、赤司くんも"きーん"を味わうがいい!

きーんの時の赤司くんの表情を見てやろうと、赤司くんの顔を覗き込んでみたら、かき氷は冷たいはずなのに赤司くんは真っ赤になっていた。

え、ちょっと、赤司くん風邪!?赤司くんの額に手を伸ばし、熱を計ってみる。うん、少し熱い、かな?


「なのちん、大胆ー」
『はっ?』


かき氷を食べながら、楽しそうにそう言うむーくん。ちょっと意味がわからないです。首を傾げていると、むーくんが「はい、あーん」とかき氷を一口差し出してきた。

不思議に思いながらもそれを口に入れる。レモンも美味しいけど、王道イチゴさんも大変おいしゅうございます

むーくんは、私がかき氷を食べたのを確認すると、楽しそうに微笑んで「これでなのちんと俺も間接ちゅーしたね」っと言った。


『へ、あ、あ…。あぁぁぁぁあ!?赤司くんごめん!!!!!』
「……いいよ、別に」


なんだ、これ!気付くの遅すぎた!てか赤司くんとか、間接ちゅーとかは、は、恥ずかしすぎる……!

ぼぼぼっと顔に熱が集まってくるのを感じて、咄嗟に赤司くんに背を向ける。ど、どうしよう、どうしたらいい?これ


「…白月さん」
『は、はいっ!?』


赤司くんに名前を呼ばれて、肩がびくっと震える。…お、怒られる…?テスト前の惨劇再び…!?

意を決して、振り返ればほんのり顔が赤いながらも笑顔の赤司くん。


「もう一回、食べさせてよ?」
『全力で遠慮します!!』


まだ半分以上残っているかき氷をそのままに、私はこの熱を冷ますために砂浜の方へと飛び出した。

なぜ海じゃないのかって、そんなの…!


『青峰くん!黄瀬くん!私も入れて!』
「いいぜ、来いよ!」
「なのっち、おいでー!」


熱は冷やすものじゃなくて、発散するものだからだよ!

この熱が発散されて、消えるまで、遊んで遊んで遊んでやる!



(海で遊びましょう)
20120915

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結論:海で遊んでねぇ



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テーマ「人外ファンタジー」
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