▼差し入れ
「うわぁぁぁあ!なのっちぃぃぃ!!」
「黄瀬ちん邪魔。なのちーん!」
『おぉぉ』
どーんっ、黄瀬くんは飛んでいき、どーんっとむーくんは私に飛び付いてきた。黄瀬くんは哀れ。
「もー、なのちん来るの遅いー。待ちくたびれた」
『ごめん、ごめん』
ぎゅうっと抱き着いてくる(身長差的には抱き締められてるの方が正しいかな)むーくんの頭を撫でるために、すっごい頑張って背伸びをする。
そうしたら、それに気付いたのかむーくんは私に届くように頭を下げた。なにこの子可愛すぎ
「あー!紫っちずるいっスよ!!」
「黄瀬ちんうるさい」
どうやら復活したらしい黄瀬くんが、何かを言ってるけど、むーくんの腕がちょうど耳を塞いでいるためよく聞こえない
「俺だってなのっちに、"黄瀬くん頑張ってるね〜"とか言われながら頭を撫でられたいっス!」
「黄瀬くん気持ち悪いです」
「気持ち悪いな。」
「キモい。」
「黄瀬ちんキモい」
「黄瀬、お前練習5倍」
「何でっスかぁぁぁぁあ!?」
『?』
黄瀬くんが床どんどんしながらなにか叫んでるけれど、「なのちんはきにしなくていいよ」とむーくんに完全に耳を塞がれたため、黄瀬くんが完全に痛い子にしか見えない
「敦。白月さん、ちょっと貸してくれるか」
「はーい」
『?、??』
何が何だかわからない状況のままで、むーくんから赤司くんへと私は受け渡される。え、なに、本当に、なに?
赤司くんは私の手首を掴んで、部室へと進んでいく。うわぁ、部室夏休み前に手伝った以来だな、とかなんとか思ったり
部室に入ると、するりと赤司くんの手は私の手首から離れていった。
「白月さん、差し入れありがとう」
『あ、いーえ。大したものじゃなくて申し訳無い。』
「白月さんの差し入れなら、どんなものでも皆喜ぶよ」
『それなら嬉しいな』
いつ見ても綺麗な赤司くんの笑顔につられて笑顔になりる。やっぱり人に喜んでもらえるのは嬉しい
2人でちょっと笑い合っていると、赤司くんが何かを思い出したように、ぱふっと手を叩いた
「あ、そうだ。白月さんにお願いしたいことがあるんだよ」
『なに?』
「来週から、二泊三日で合宿をするから、それについてきて欲しいんだ」
『…え?』
「白月さんがいてくれるとすごく助かるんだけど…、来てくれるよね」
赤司くんの聞き方が明らかに疑問系じゃないことは、置いといて、合宿かぁ…。青春だなとか関係ないことを思ったりしてみる。
「合宿、来るよね」
『あ、はい、ぜひ!』
もう一度そう問われ、考える間もなく私は是の返事を返した。なんだかとてつもない身の危険を感じたから。
「じゃあ、よろしく。」
『うん』
差し出された赤司くんの手を握り返す。夏休み、いつもより忙しくなりそうだ。
(差し入れ)
20120911
修正1028
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