▼バニラシェイク
(あっついなぁ…)
無駄に青い空を見上げながら思う。夏休み1週間目。ちなみにまだ、むーくんに会いには行っていない。
ふわっふわとした白い雲に手を伸ばしながら思う。暑さでだるい体を冷ましたい、冷たいもの飲みたい。
『バニラシェイク、飲みたい…』
なんとなく口に出した、バニラシェイク。…なんでだろ。猛烈にバニラシェイク飲みたくなってきちゃったんだけど
そう考えたら最後。頭はバニラシェイクで埋め尽くされる。バニラシェイクバニラシェイクバニラシェイクバニラシェイクバニラシェイクバニラシェイクバニラシェイクバニラシェイクバニラシェイク…飲みたい
もちろん家にバニラシェイクがあるわけなんてなくて、飲みたいならば買いに行くしかない
『…しょうがない、行きますか』
部屋着の上から半袖のパーカーを羽織って、サンダルを履いて外への扉を開く。1週間ぶりの日差しは痛いくらいに肌に突き刺さった。
出来るだけ日陰を探して進む。10分程度歩けば、マジバが姿を現す。
店内に入って、冷房の風で火照った体を冷やす。さてさて、バニラシェイクをいただきましょうか
数人が並ぶ列の後ろにつく。…って、アレ?前の人黒子くん?
『黒子くん?』
「……白月さん?」
恐る恐る呼んでみた名前に反応して振り向いたのは、正真正銘黒子くんだった。
「こんにちは、白月さん。」
『こんにちは黒子くん。今日の練習は?』
「休みなんです。」
『ほう。お疲れ様』
「ありがとうございます。…白月さんは何を買いに来たんですか?」
『バニラシェイク。無性に飲みたくなっちゃって』
「僕もです」
『じゃあ、一緒に買おう?』
「いいですよ」
黒子くんの後ろから隣へと並び直す。そこで気付く黒子くん、思ってたよりも大きい。…赤司くんくらいかな?
「あ、そうだ白月さん。」
黒子くんは何を思い出したように、私の名前を呼ぶと2人分のバニラシェイクを注文してから、言った。
「紫原くんが会いたがってましたよ。早めに会いに来てあげてください」
その言葉にまだ1週間なのに、と思うのと同時になんだか嬉しくなった。むーくんか、会いたいな。
「うん、了解」
黒子くんからバニラシェイクを受け取りながら、「差し入れ、黒子くんのはバニラシェイク持っていくね」と半ば冗談で言ったら、「お願いします」って黒子くんが笑顔で返してきた。
これは…、バニラシェイクのレシピを調べなければならないですね。
ゴクリと、バニラシェイクを一口飲み込んで、いつ会いに行こうか考えた。
(バニラシェイク)
20120910
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